2001 Fiscal Year Annual Research Report
高ストレス・高撹乱立地における樹木の障害とその回復過程
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13760113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本間 航介 新潟大学, 農学部, 講師 (50323960)
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Keywords | 撹乱 / 萌芽 / クローナル植物 / ラミート / ジェネット / グラフティング |
Research Abstract |
平成13年度は、クローナル木本植物を用いた以下の二つの研究を行った。 1)ルートサッカーにより繁殖するPopulus tremulaの生活史の解明と、遺伝学的手法(MuPSマーカー法)を用いたクローナル生長様式の解析 山火事後に大量に発生したPopulus tremulaのルートサッカーを空間マッピング・根茎堀とり・DNAによるクローン解析の3つの方法で解析した結果、以下の結果が得られた。(1)P.tremulaのラテラルルートはほとんど細根を持たず、親幹からの水分の側方転流に多くを依存している(2)細根が土中に侵入し、成長する過程でラテラルルートの親幹からの切り離し(フラグメンテーション)が生じ、草本のライゾームに似た土中での散布が行われる。(3)フラグメントになったラテラルルートは伸長生長の過程で同一ジェネットからは離れ、異なるジェネットのルートと融合する反応(ルートグラフティング)を行う。このために、ラテラルルートはキメラに似た、異なる遺伝子組成の組み合わせから生じた根となる。 2)マニピュレーション実験による萌芽性低木の撹乱対応様式の多様性の評価 冷温帯性落葉広葉樹林に普遍的に出現する林床低木種4種(タニウツギ・オオカメノキ・アオダモ・クロモジ)において、撹乱を受ける時期や撹乱により障害を受けた場所によって萌芽反応様式が変化する様子をマニピュレーシヨン実験によって定量的に解析した。理論的には休眠段階の冬に撹乱を受けた場合と活動中の夏に撹乱を受けた場合では反応性が異なることが予想されたが、実際にはタニウツギ以外の3種で夏・冬の反応性の違いは識別できなかった。また、撹乱位置による違いは種差が認められたものの、いずれの種でも反応性と撹乱を受ける前の固体サイズとの間に高い正の相関が検出された。このことから、萌芽性低木種は撹乱に対応して地下部に貯蔵物質を蓄積しており、その量は固体サイズに依存して多くなることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Takahashi, K., Homa, K. et al.: "Stand structure and regeneration patterns in a Betula platyphylla-Picea ajanensis forest in the central Kamchatka peninsula"Journal of Vegetation Science. 12-5. 627-634 (2001)
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[Publications] Homma, K., Takahashi, K. et al.: "Regeneration processes of a boreal forest in Kamchatka with special reference to the contribution of sprouting to population maintenance"Plant Ecology. (印刷中). (2002)
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[Publications] Homma, K.: "Effects of snowfall on the species composition and population structure of Siebold's beech (Fagus crenata) forest in Echigo Mountains, Central Japan"Research Bulletin of the Niigata University Forests. 34. 1-16 (2001)
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[Publications] 本間 航介: "ブナ林背腹性の形成要因"日本植生学会誌. (印刷中). (2002)
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[Publications] 本間 航介: "ネットワーク研究を軸にして日本のLTERの方向性を考える"日本生態学会誌. 51. 277-282 (2001)
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[Publications] Takahashi, K., Homma, K. et al.: "Climatic factors affecting the growth of Larix cajanderi in the Kamchatka Peninsula, Russia"Eurasian Journal of Forest Research. 2(印刷中). (2001)
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[Publications] 梶本卓也, 杉田久志 他編著: "雪山の生態学"東海大学出版会(印刷中). (2002)