2002 Fiscal Year Annual Research Report
HBSパルプの無塩素漂白とパルプ化中の非繊維成分の反応と性状
Project/Area Number |
13760125
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸本 崇生 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60312394)
|
Keywords | オルガノソルブパルプ化 / ソルベントパルプ化 / 脱リグニン / ホモリシス / 反応機構 / β-O-4 / キノンメチド |
Research Abstract |
ブタンジオールなどのアルコール性高沸点溶媒(High Boiling Solvent, HBS)を用いたパルプ化法の脱リグニン機構を解明するため、フェノール性β-O-4型リグニンモデル化合物、グアヤシルグリセロール-β-グアヤシルエーテル、および、非フェノール性のベラトリルグリセロール-β-グアヤシルエーテルを、1,4-ブタンジオール中で加熱処理し、反応生成物を解析した。その結果、フェノール性のβ-O-4構造では、β-アリルエーテル結合の開裂が主な反応であることが判明した。ヒッバートのケトン類は確認されず、コニフェリルアルコールが生成したことからエーテル結合の開裂は加水分解ではな<、キノンメチド中間体を経たホモリティックな開裂であることが示唆された。また、非フェノール性のβ-O-4結合は全く反応せず、1,4-ブタンジオールが〓位に導入されることが判明した。さらに、磨砕リグニン(MWL)を同様に1,4-ブタンジオール中で加熱処理し、構造変化を^<13>C-NMRを用いて定量した。その結果、β-O-4構造の〓位に由来するシグナルが減少し、フェノール性水酸基の大幅な増加がみられた。これは、β-O-4結合や、フェノール性のβ-O-4結合の開裂に起因すると考えられる。一方β-β結合やβ-5構造の量は大幅な低下はみられなかった。以上のことから、HBSパルプ化では、α-O-4結合や、フフェノール性のβ-O-4結合の開裂が主な反応である。
|
Research Products
(1 results)