2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 義春 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70323475)
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Keywords | セルロース / 結晶構造 / 中性子線回折 / 赤外吸収スペクトル / 水素結合 / X線回折 |
Research Abstract |
セルロースI_βの結晶構造を放射光X線回折および、中性子線回折データにより精密化し、水素結合に関わる水素の位置を明らかにした。この結果、セルロースIについては統計的に二種類の水素結合様式が存在していることがわかった。セルロースI_βの水素結合はピラノース面に平行な面内に形成され、03->05、02->06の分子内結合と06->03の分子間水素結合が主な結合様式であるが、30%程度は02->06の代わりに06->02となっている。このことは赤外吸収スペクトルがセルロースIの場合のみ、他の結晶多形に比べて著しく複雑であることと対応し、セルロースの構造と振動スペクトルについての総合的な理解ができた。さらにセルロースIについては水酸基の伸縮振動のカップリングが起きているためにIRのスペクトル強度および赤方シフトが個々の水素結合強度に対応していないことが、稀釈重水素置換法によって明らかとなった。すなわち5%程度の重水素を均一に結晶内に分布させ、ODの伸縮振動領域の赤外吸収スペクトルを測定することによりカップリングが解消され、分子間水素結合に対応する2本の分子鎖に直行するバンドと5本の平行バンドが現れ、それぞれ結晶学的に独立な水酸基に対応することがわかった。ピラノース環の形状がセルロースI_βの2本鎖のcenterとcornerの分子で異なることをX線構造解析により明らかにした。 またセルロースIII_Iについては一本鎖P2_1の単位格子で、水素結合様式も1種類しかないことがわかった。水酸基の水素の位置を精密化している段階である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Nishiyama, P.Langan: "Modelling diffraction patterns from fibres with biaxial orientation and complex texture"Fiber Diffraction Review. 9. 24-27 (2000)
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[Publications] M.Wada, L.Heux, A.Isogai, Y.Nishiyama, H.Chanzy, J.: "Improved Structural Data of Cellulose 111_1 Prepared in Supercritical Ammonia"Macromolecules. 34・5. 1237-1243 (2001)