2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 雅文 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20263155)
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Keywords | 木材 / 横圧縮変形 / 変形回復 / 固定 / 電子線照射 / 異常収縮 / 重量減少 / 強度 |
Research Abstract |
これまでの研究成果から、実用的な圧縮変形の固定処理に要求される処理性能は、(1)解放系、(2)常温、(3)常圧での処理が可能であり、(4)処理時間が極めて短いことであると判断された。そこで、高温、高圧を必要とせず、短時間に木材成分を切断して、変形によって蓄積された回復力を除去する方法として放射線処理、特に『電子線照射』処理に着眼し、A.木材加工にこれを適応するための事前調査と、B.圧縮変形の固定化に関する実験を行った。 A.木材加工に電子線照射を適用する上での特徴は以下のように集約された。 1.処理時間が極めて短く、処理材の後処理が不要である。 2.照射対象物の温度上昇がほとんどない。 3.様々な産業分野における放射線利用の発展に伴い、高エネルギー、高出力の電子線照射装置が開発されている。 4.密閉空間を必要としないので、連続生産が可能である。 5.10MeV程度であれば放射化の心配はなく、電源によってOn-Off操作が可能であり、安全性が高い。 B.変形量が約50%で横圧縮変形しドライングセットしたスギ圧縮木材に0.75MeVの電子線を照射し、煮沸による変形回復を測定したところ、吸収線量の増加とともに回復度は低下し、3MGy程度の吸収線量で変形が完全に固定された。この時、試験片の異常変形、重量減少はほとんど認められなかった。これ以上の吸収線量では、試験片に異常収縮、著しい強度低下、割れなどの損傷が確認された。電子線を照射してから変形する前処理によって変形を固定するには、4Mgy以上の吸収線量が必要で、この時、照射材には極めて高い流動性が認められた。
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