2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760135
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片山 知史 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30224455)
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Keywords | マアナゴ / Conger myriaster / 耳石 / 葉型仔魚 / 沿岸波及水 / 移動 |
Research Abstract |
東北海域へのマアナゴの加入機構を明らかにするために、前年度においては,年齢査定法を確立し、漁獲物の年齢組成および年齢と体長の関係を明らかにした.今年度は以下のとおり、1.東北海域への葉型仔魚来遊パターンと海況との対応関係、2.来遊後の分布と移動について明らかにした。 1.マアナゴ葉型仔魚の漁獲量が最も多い大洗魚市場における,1993〜2002年の船曳網1ケ統1日当たりのCPUEを求め、来遊時期を推定した.水温に対する葉型仔魚のCPUEの関係を調べたところ、まだ水温が10度未満の時には、いずれの年もCPUEはほぼ0であった。最も高いCPUEの値が見られたのは10度から15度にかけての範囲にあった。15度以上でも漁獲はみられたが、水温が15度近くに達する4月中旬以降は、変態期の個体が大半を占めた。 以上のことから、常磐海域ににおいてマアナゴ葉型仔魚は、主に表面水温が10〜15度であるような海洋条件の時期に来遊することが示された。したがって、マアナゴ葉型仔魚は黒潮北上暖水ではなく、黒潮の沿岸波及水を利用して来遊するものと推察された。 2.東北海域における各地に生息するマアナゴの体長と年齢組成を比較した。松島湾内では1+のみ、松島湾沖では1+中心で3+以上の個体は全く分布していなかった。これに対して仙台湾、常磐海域の水深100m〜200mの水域においては主に400mm〜800mm年齢2+〜4+の個体で構成されていた。したがって、内湾や浅海域において若齢期(2歳まで)を過ごしたマアナゴは、年齢の進行とともに沖合の大陸棚に移動するものと考えられた。 東北南部海域における沖合底曳船のCPUEマップは、マアナゴが水深100m〜200m水域を中心に仙台湾から常磐沖に広く分布していることを示した。しかし主に2月3月には、仙台湾の水域において著しく低密度となった。これは同時期同海域ににおける10度以下の低水温の出現に対応していた。仙台湾と常磐海域のマアナゴについて、体長、年齢、生殖腺重量指数、肥満度を比較したところ、有意差は認められなかった。したがって、本海域におけるマアナゴの分布の季節的な変化は、成長や成熟に伴う移動ではなく、低水温を避けた季節的な南北回遊によるものと考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Katayama, T.Ishida, K.Goto, K.Iizuka, K.Karita: "A new aging technique of UV light observation of burnt otolith for Conger eel, Conger myriaster"Ichthyol. Res.. 49・1. 81-84 (2002)
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[Publications] 片山知史: "常磐海域に出現するマアナゴ葉型仔魚"東北底魚研究. 22. 37-41 (2002)
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[Publications] S.Katayama: "A new aging technique of UV light observation of burnt otoliths"Proc. Int. Com. Symp. 70th Annyvers. Jap. Soc. Fish. Sci.. 421-422 (2002)
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[Publications] 片山知史: "魚類の硬組織による年齢査定技術の最近の情報"南西外海の資源・海洋研究. (印刷中). (2003)