2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 崇臣 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70323631)
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Keywords | 耳石 / 微量元素 / 日周輪 / Sr:Ca比 / 回遊 / 生態 / 生活史 |
Research Abstract |
本研究は、魚類耳石の微量元素特性や微細構造の特徴から個体の生息水域の変化(回遊経路)や発育に関する履歴を正確に復元するための解析手法を構築することが目的である。本年度は、主にウナギ属魚類を用いて、飼育実験や野外で採集した魚を用いて耳石輪紋の形成周期や、成長段階あるいは生息環境の相違にともなった耳石微量元素濃度の変動過程を明らかにすることを目的とした。その研究成果の概要は以下の通りである。(1)熱帯ウナギA. marmorataの耳石日周輪の検証:耳石蛍光標識を施したA. marmorataのシラスウナギ30個体を用いて耳石輪紋形成の周期性を調べたところ、標識処理後の飼育日数と標識外側の輪紋数がほぼ一致し、本種の輪紋の日周性が確認された。これにより本種の生活履歴推定に耳石輪紋解析が有効であることが確認された。(2)ウナギ属魚類の変態期推定:外洋で採集されたA. marmorata、A. bicolor pacificaのレプトケファルス計33尾の耳石微細構造とSr:Ca比の解析を行った。レプトケファルスの耳石には、シラスウナギに存在する輪幅の急増開始点とSr:Ca比の急減は認められなかった。したがって、輪幅の急増とこれと一致したSr:Ca比の急減は、変態期に相当すると考えられた。これにより熱帯ウナギでも耳石解析により変態期を正確に推定できることが証明された。(3)異なる塩分環境で採集したウナギの微量元素特性:淡水、汽水、海水で採集したウナギのSr:Ca比の解析を行った。通常ウナギは淡水で成長するが、沿岸域に接岸後、成長のために淡水域に遡河せず産卵回遊を行う直前まで一生を海あるいは汽水で過ごす集団が日本各地に生息していることが明らかになった。これらの結果は、Marine Ecology Progress Series誌213、216、220号やMarine Biology誌138号などに公表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Arai T, Limbay D, Otake T, Tsukamoto K: "mechanism of tropical eels,"Marine Ecology Progress Series. 216. 253-264 (2001)
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[Publications] Arai T, Aoyama J, Ishikawa S, Miller MJ, Otake T, Inagaki T Tsukamoto K: "Early life history of tropical in the western Pacific Ocean"Marine Biology. 138. 887-895 (2001)
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[Publications] Arai T, Miyazaki N: "Use of"Journal of the Marine Biological Association UK. 81. 709-71 (2001)
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[Publications] Marui M, Arai T, Miller MJ: Marine Ecology Progress Series. 213. 273-284 (2001)
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[Publications] Sugeha HY, Shinoda A, Marui M, Arai T, Tsukamoto K: Marine Ecology Progress Series. 220. 291-294 (2001)
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[Publications] Tsukamoto K, Arai T: Marine Ecology Progress Series. 220. 265-276 (2001)