2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760145
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
阪倉 良孝 長崎大学, 水産学部, 助教授 (20325682)
|
Keywords | 海産仔稚魚 / 行動 / 摂餌 / 成長 / 個体変異 / ホルモン / 酵素活性 |
Research Abstract |
対象魚種として,主に海産メダカ(Rivulus marmoratus),マハタなどの仔稚魚を用いた行動の個体変異の定量観察を実施し,個体毎の形態,生理,および遺伝的背景を探り,総合的な考察を行うことを目的とした。 海産メダカでは,遺伝的に異なる2つのクローン系統を用いた初期飼育および行動観察実験を実施した。孵化時の体長は2クローン間に差がなかったが,同一給餌量・飼育環境にもかかわらず,成長の速いクローン株の存在することが明らかとなった。この2クローン間では性比も異なることが分かり,オスの出現頻度の高いクローンの成長が劣った。一方,形態には両株に差異は見られなかった。これらのことから,遺伝的に成長を規定する形質および物質が存在するという仮説を立て,消化酵素活性と摂餌行動,ストレス応答に関わる酵素(エステラーゼなど)活性ならびに成長・成熟に関わるステロイドホルモンの個体レベルの測定を実施し,2株間での比較を試みた。これら酵素活性,ステロイドホルモンの仔魚1個体あたりの測定技法を本年度中に確立することが出来た。海産メダカクローン間の行動変異と遺伝的要因の関係を明らかにするため,さらにAFLP法によるDNAの変異検出法に着手し,遺伝的要因のバックグラウンドを探る実験も実施した。この実験から,2株間で明らかに異なる遺伝子マーカーの存在を確認した。現在,これらの結果をもとに解析を進めている。 マハタなどを用いた海産仔魚の摂餌行動と餌料サイズの関係を調べた。マハタでは,仔魚は開口直後(4日令、平均全長2.1mm)から体長3mm(全長3.2mm)までは被甲長80〜120μmのワムシに、体長3〜4mm(全長4.2mm)には被甲長120〜180μmのワムシに対して強い選択性を示すことが分かった。また、体長4mm(全長4.2mm)以上の仔魚は被甲長180μm以上のワムシを摂餌していた。体長および口器サイズと摂餌したワムシサイズには正の相関が見られた。以上より,マハタ仔魚飼育では,全長3.2mmまではSS型,4.2mmまではSS型とL型の混合給餌、それ以降はL型ワムシの給餌が適していると判断された。 以上の成果の一部は平成14年9月に開催された日本水産増殖学会において公表し,平成15年度4月に開催される日本水産学会でも公表する。
|
-
[Publications] Sakakura Y., Tsukamoto K.: "Onset and development of aggressive behavior in the early life stage of Japanese flounder"Fisheries Science. 68(4). 854-861 (2002)
-
[Publications] Sakakura Y., Tsukamoto K.: "Possible index of fish quality for release determined by behavior of metamorphosing larvae"Fisheries Science. (印刷中). (2003)
-
[Publications] Sakakura Y., Tsukamoto K., Hagiwara A.: "A behavioural character in metamorphosing stage can predict the growth performance of juvenile stage in Japanese flounder"Proceedings of the 2^<nd> International Symposium on the Stock Enhancement and Sea Ranching. (受理). (2003)