2001 Fiscal Year Annual Research Report
LCA拡大適用による農業地域の環境影響評価の開発手法に関する研究
Project/Area Number |
13760160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大村 道明 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70312626)
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Keywords | LCA / ライフサイクルアセスメント / 農業 / プロブレム・シフティング / 政策決定支援ツール |
Research Abstract |
本研究は,農業に関する環境影響評価手法としてのLCA手法の開発を目的とするものである従来のPLCAは製品・サービスの環境負荷の定量化には役立つものであるが,政策決定支援ツールとしては不十分なものであり,特に農業LCAにおいてはこのツール機能が最も重要であるという認識による。 本年度は,LCAの先進地であるオランダ,ライデン大学環境科学研究所(CML)におもむき,農業LCAに関する先端研究のサーベイを行った。これを中心に,国内外の関連研究をサーベイしたところ,(1)日本における農業LCA研究は,LCAとは呼ばないが,類似性の高い研究で,エネルギー・フロー,窒素フローといった特定の物質フローに関する研究の歴史は深いものの,それらを政策決定支援まで結びつけることは困難であった,(2)日本国内のLCA研究事例では,その多くがエネルギー・フローに依拠した研究であり,実験的データの蓄積,公開性・信頼性の高いデータベースの構築が立ち遅れている,(3)その結果,本来解決方法が示されるべきプロブレム・シフティングが,従来のLCAでは充分に把握されておらず,説得的な政策決定支援ツールとして機能し得ない状況にあることが判った。 LCAのシステム・バウンダリーを拡大していく本研究の手法については,LCA手法としては,データ処理の難度が上昇するものの,可能であるが,政策決定支援ツールとしてのLCAの公開性・信頼性に応える情報伝達の方法が課題となることが判った.具体的には,政策決定者のLCAに関する基礎的知識の啓蒙もさることながら,既存のLCAソフトウェアと,その利用結果を政策決定者に効果的にインターフェイスする方法の模索が必要である.
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