2001 Fiscal Year Annual Research Report
紅河デルタ農村開発の多様性―村落レベルの農業・手工業・地域間ネットワーク―
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13760164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳澤 雅之 京都大学, 東南アジア研究センター, 助手 (80314269)
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Keywords | 紅河デルタ / 作付体系 / 野菜 / 現金収入 |
Research Abstract |
ナムディン省ブバーン県タインロイ社にてこれまでに収集してきた作付体系に関する調査結果を分析した。その結果、経済開放政策以降の村落レベルの作付体系は一見して多様化し合理的になった側面はあるものの、もっとも合理的であるとはいないこと、そしてその理由は、販売方法の如何に農産物販売による現金収入が影響されていること、所与の社会・経済的条件を加味すれば現在の目からみれば合理的でないかつての作付体系も当時の状況下では十分に合理的であることなどがわかった。また、現金収入源として野菜生産に重点を置くこの調査村落では、野菜の販売は販売場所によって収入に格差があるものの、世帯レベルでの販売先はむしろ固定しており、もっとも有利な販売先を確保するためには、市場や価格に関する情報の不足や、販売可能な野菜の絶対量が少ないことなどから、農民が野菜栽培面積をさらに拡大し、現金収入を増大させようとするインセンティブに欠けていることがわかった。以上の結果は熱帯農業学会が主催するシンポジウムで発表した(研究発表参照)。 また、文部省(当時)の国際学術科学研究(「紅河デルタにおける農業資源評価」代表縄田栄治京都大学農学部助教授、1997-99年)によって得られた、ナムディン輪中の全合作社を対象とした農業生産システムに関する質問表調査結果のデータチェックをほぼすべて行ない、現在は分析のためのマクロを作成中である。同時に、Arc Viewソフトを用いて村落をユニットとするベースマップを作成した。分析結果のベースマップ上での分析は平成14年度に行なう予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yanagisawa, M., Nawata, E., Kono, Y., Hung, B.T.: "Status of Vegetable Cultivation as Cash Crops and Factors Limiting the Expansion of the Cultivation Area in a Village of the Red River Delta in Vietnam"Japanese Journal of Tropical Agriculture. Vol.45, No.4. 229-241 (2001)
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[Publications] 柳澤 雅之: "東南アジアのデルタにおける作付体系の展開-ベトナム紅河デルタの作付体系から-"熱帯農業. vol.45 No.5. 316-319 (2001)