2001 Fiscal Year Annual Research Report
比較生産性とヘクシャー・オリーン理論による農業・食品産業の国際競争力の実証的研究
Project/Area Number |
13760166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
金田 憲和 東京農業大学, 国際食料情報学部, 講師 (30297593)
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Keywords | 食品産業 / 生産性 / ヘクシャー・オリーン理論 / RCA / 国際競争力 |
Research Abstract |
本年度は産業連関表を用い、日本の製造業の部門別輸出入のデータからRCA(Revealed Comparative Advantage)を計算し、これを各部門の資本使用量・労働使用量データと照らし合わせることで、製造業やその中の食品産業の国際競争力を規定している要因を探った。 この結果、ヘクシャー・オリーン定理から予想される「資本豊富国である日本では、資本・労働比率の高い部門ほど高競争力である」という図式は、製造業全体では必ずしも成り立っていないことが示された。むしろ逆に、競争力の低い部門の方が資本集約度が大きいという、パラドキシカルな結果となった。他方、資本集約度や労働集約度が特に高い(生産性が低い)部門は国際競争力がない、という点もはっきりしたが、この結果は経済理論と整合的である。食品産業についていうと、例えば統合中分類の「食料品」は労働集約的、「たばこ」は資本集約的であり、競争力が低い理由がつくが、生産性の高い「飲料」「飼料・有機質肥料」においても競争力は同様に低い。 以上の結果をもとに、今後の日本の食品産業について以下のように考察できる。 食品産業の各部門の資本集約度はほぼ横並びであり、労働集約度の差が大きい。このことから、労働集約的な部門はこれからも国際的に見て厳しい競争圧力にさらされる可能性がある。具体的には、「びん詰め・かん詰め」や「水産食品」などの部門である。また、これまで政策的保護を受けてきた部門にとっては、保護政策の撤廃等が、嗜好の壁に守られてきた部門にとっては、海外からの日本向け開発輸入の進展が大きな脅威になると思われる。
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