2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山下 雅幸 静岡大学, 農学部, 助教授 (30252167)
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Keywords | アイソザイム / イタリアンライグラス / 外来牧草 / 自生集団 / 雑種 / 侵入性 / ペレニアルライグラス / ライグラス類 |
Research Abstract |
外国から導入された牧草や芝草は,その生態的特性から野生化しやすく,生態系や生物多様性の保全の面から,野生化に関する生態遺伝学的研究が重要かつ緊急の課題となっている。そのような外来牧草の一つに欧州原産のライグラス類がある。日本へ導入されたライグラス類には,短年生のイタリアンライグラス(IR)と多年生のペレニアルライグラス(PR)があり,両種は自然条件下で交雑し雑種を形成することが報告されている。本研究では,日本各地に導入され自生化したライグラス類における雑種形成と侵入性との関係を解明するために,種識別法の開発,及び種間雑種の量や分布についての予備調査を行った。 1.種識別マーカーの開発:これまでに種間差異が報告されているPgi-2アイソザイム遺伝子座について,IR,PRおよび種間雑種の栽培品種を用いて分析した結果,これらの間には対立遺伝子頻度の差異が認められた。次年度は,さらに高精度で検出できる遺伝マーカーの開発を進める。 2.ライグラス類の分布調査:静岡市の自生集団について,分布調査及び,IRとPRの識別に用いられてきた3形質(芒の有無,種子根の蛍光性,葉鞘内の若い葉身の形状)の調査を行った。供試材料には,比較としてIRとPRの栽培品種も用いた。自生集団は主に交通量の多い道路沿いや河川敷,公園などに分布していた。自生集団において,芒をもつ種子の割合は平均46%であった。種子根の蛍光率は平均71%とやや高かったが,IRとPRの蛍光率(それぞれ100%と0%)の中間の値を示す自生集団が多かった。葉身の形状もIR型からPR型まで幅広く観察された。以上の結果から,静岡市には種間雑種と考えられる個体が予想以上に多く分布していることが示唆された。他の地域において種間雑種がどの程度分布しているのか,そして,雑種化が本当に侵入成功に寄与しているのか否かを明らかにすることが次年度の課題である。
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Research Products
(2 results)