2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760195
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
岩澤 淳 岐阜大学, 農学部, 助教授 (90242742)
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Keywords | ニワトリ / 高血糖 / グリオキシル酸回路 / GLUT |
Research Abstract |
本研究は、鶏が血糖値を高く維持しているメカニズムと意義、および血糖値が高いにもかかわらず血管障害が起こらない理由を生化学的・分子生物学的レベルで解明することを目的とし、採卵鶏(白色レグホーン)およびブロイラーを供試して検討を行っている。また、胚発生の後期から孵化後にかけて血糖値の上昇や関連する酵素活性の変動が見られるので、特にこの時期における解析に重点を置いている。本年度は、卵黄に豊富に存在する脂肪酸を原料にして糖新生を行う「グリオキシル酸回路」の存在を証明するため、グリオキシル酸回路酵素の反応実験を行った。その結果、同回路酵素の一つであるイソクエン酸リアーゼ活性が、孵化の6日前に肝臓と腎臓で上昇し、その後、孵化後にかけて減少すること、この酵素は成鶏ではみられないことがわかった。また、同様の酵素実験を試験管内ではなく直接鶏の組織切片上で行う系についても条件検討を行った。また、並行して同回路酵素であるイソクエン酸リアーゼとリンゴ酸シンターゼの cDNAクローニングを進めた。また、血糖値の維持には血糖値をいくつに設定するかというサーモスタットにあたる機能が必要である。これには解糖系酵素であるグルコキナーゼが関わっていると考えられるので、鶏グルコキナーゼの cDNAクローニングも進めた。さらに、細胞への血糖取り込みを担う糖輸送担体(GLUT)の検出をPCR法およびラットのGLUTに対する抗体を用いたウェスタンブロット法で試み、GLUT2およびGLUT4に関して検出が可能になった。一方、ヒトで高血糖性の血管障害の原因物質として知られている物質である糖化タンパク質やメイラード反応後期生成物が鶏に存在するか否かを、ヒトにおける常法を援用して測定を試みたが、いずれも陰性であった。方法論的な問題点も考えられるため、今後検討していくこととした。
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