2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13760198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 実紀 京都大学, 農学研究科, 助手 (20243074)
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Keywords | 核磁気共鳴法 / 核磁気共鳴画像 / 細胞死 |
Research Abstract |
核磁気共鳴(NMR)顕微鏡による生体内構造の観測条件を決定するため、マウス胎子標本の観測およびマウス未成熟個体の麻酔下生体観測を行った。胎子標本の観察ではレチノイン酸誘発発生異常モデルを使用し、胚を採取し固定後、NMR顕微鏡観測を行った。観測は、2次元および3次元スピンエコー法により行った。2次元像の組織コントラストは繰り返し時間、エコー時間、および発生段階によって変化した。2次元ならびに3次元像において骨格ならびに軟組織の形成異常が観察された。この実験での条件に基づき生体内観測を行ったところ、2次元スピンエコー像では固定標本と比較して低信号であり、ノイズの低い画像を得るためには繰り返し時間の延長と観測ボクセルの拡大が必要であった。プロトン密度強調像において、骨組織および消化管内腔は低信号で、その他の軟組織はほぼ均質な中程度の信号を示した。T1強調像では脂肪組織が高信号を示し他は低信号であった。3次元観測では麻酔維持時間からT1強調観測のみが可能であったが、軟組織は低信号でコントラストが得られなかった。短時間のT1強調観測で良好な信号を得るために、緩和促進作用のあるGadopentetic acidの投与後に観測したT1強調像では信号強度が上昇したが、特に強い信号は腎盂および膀胱において観察され、血中および組織内からは比較的急速に排出されると考えられた。現在、死細胞標識との組み合わせについて検討している。また、細胞のエネルギー代謝の指標となるリンの生体内スペクトル観測について検討した。マウス肝および精巣近傍で表面コイルを用いて観測したリンのNMRスペクトルではATP、無機リン、リン酸エステルおよびクレアチンリン酸の信号が判別された。死亡した個体や生存個体でも組織傷害が生じた場合、ATPの信号が急速に消失し無機リンの信号が増強した。この変化の画像観測について現在検討を行っている。
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Research Products
(1 results)