2001 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞におけるアクチビンの役割:発現、機能ならびに作用機構について
Project/Area Number |
13760214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
舟場 正幸 麻布大学, 獣医学部, 講師 (40238655)
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Keywords | アクチビン / マスト細胞 / カルモジュリン / AP-1 / ATF / 遺伝子発現 / 転写調節 |
Research Abstract |
アレルゲン-IgE複合体が結合すると免疫細胞であるマスト細胞は活性化し、ヒスタミンなどを放出し炎症が誘起される。一方、アクチビンは細胞の分化・増殖を調節する分泌性蛋白である。マスト細胞におけるアクチビンの役割を明らかにするため、マスト細胞におけるアクチビンの発現ならびに発現調節を調べた。ラットマスト細胞様細胞-RBL-2H3-をDNPで架橋したIgEで刺激したところ、アクチビンβ_A鎖のRT-PCR産物量が明らかに増加した。IgE刺激によって細胞内Ca^<2+>濃度は持続的に上昇するので、Ionomycin(IM)を使って細胞内Ca^<2+>濃度を増加させたところ、β_A鎖の遺伝子誘導が見られたが、Cyclohexamide存在下でこの現象は見られず、β_A鎖誘導には新規の蛋白合成を必要としていると考えられた。細胞内Ca^<2+>濃度の増加によってCalmodulin(CaM)が活性化する。CaM antagonistでこの細胞を前処理した場合、IMによるβ_A鎖の遺伝子誘導は起こらず、また、CaM-dependent kinase (CaMK)の阻害剤で前処理した場合もβ_A鎖誘導は起こらず、この遺伝子誘導にCaMKの関与が示唆された。β_A鎖のpromoter領域を利用したreporter assayによって、これらのβ_A鎖誘導調節は転写レベルで起こること、gel-shift assayによって、enhancer領域にAP-1やCREB/ATFが結合し得ること、さらにAP-1の構成因子であるc-fos、JunBの遺伝子誘導がIMによって起こることが分かった。以上の結果、『RBL-2H3細胞では、細胞内Ca^<2+>濃度の増加によるCaM活性化を通して、CREB/ATFが活性化される一方、AP-1を構成する分子の遺伝子誘導を通して、AP-1活性が上昇し、β_A鎖の転写が促進される』と考えられた。
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