2001 Fiscal Year Annual Research Report
新生血管の立体構造と分子機序―動的立体組織学によるアプローチ
Project/Area Number |
13770004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋都 浩哉 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90261289)
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Keywords | 新生血管 / 血流動態 / 生体顕微鏡 / 内皮細胞 / 周皮細胞 / 走査電子顕微鏡 / 血管内皮細胞成長因子 / ウサギ |
Research Abstract |
血管新生は,組織の再生や腫瘍の増大など,様々な生理的,病的現象をコントロールする因子として注目されている。本研究は,新生血管の生体内直接観察を行うことにより生体内での血管新生パターンを解析し,その同一部位を免疫組織化学と走査電顕を用いて観察することで,血管新生のメカニズムを形態学的に解析することを目的とする。 本年度はまず,ウサギ耳介に穴をあけ,血管内皮細胞成長因子(VEGF)を含んだゼラチンスポンジのシートを移植,両面をプラスチックフィルムではさみ,チャンバーを作成した。シート内に新生する血管の血流動態を経時的に生体顕微鏡で観察,その後光顕免疫組織化学および電顕観察を行った。 生体顕微鏡観察では,移植後5-7日目よりスポンジ内の新生血管が観察された。血管はスポンジ内やその周囲で蛇行あるいはループを形成して走行していた。血管新生部を経時的に観察すると新生血管は先端部でループを形成し,さらに新たな血管がループ先端部より形成されたいていた。生体顕微鏡観察後,これらの血管を血小板内皮細胞成長因子(PECAM)に対する抗体で染色すると,新生血管の多くはPECAM陽性であった。KOHとコラゲナーゼを用いて結合組織を除去し,走査電顕観察するとこれら新生血管の内皮細胞と周皮細胞の立体形態が明らかになった。新生血管では正常の結合組織の血管に比べて周皮細胞が内皮細胞を疎にとりまいている傾向にあった。以上の所見は新生血管では内皮細胞が周皮細胞に先立ち増殖し,管腔構造がループ状に形成され,引き続き周皮細胞が覆うことを示唆する。 来年度は,生体顕微鏡下に観察される血管新生部位を特定して新生部位の内皮細胞と周皮細胞の立体的位置関係を明らかにし,相互に作用しあう成長因子等を免疫組織化学の手法をもちいて解析する予定である。
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