2001 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋細胞においてアセチルコリン神経伝達を担う膜ドメイン
Project/Area Number |
13770007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
飯野 哲 福井医科大学, 医学部, 助手 (40242854)
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Keywords | 平滑筋 / アセチルコリン / ムスカリン受容体 / 神経終末 / 膜ドメイン / カベオラ / カベオリン |
Research Abstract |
消化管と気管の平滑筋を対象に、主に免疫細胞化学的手法で平滑筋細胞膜ドメインを解析した。これらの組織はアセチルコリン合成酵素(ChAT)や小胞型アセチルコリントランスポーター(VAChT)の免疫組織化学によりアセチルコリン含有神経終末が豊富であることが確認されている。ムスカリン受容体はM1からM5までサブタイプが存在し、消化管と気管ではM2受容体が多く発現している。消化管においてM2受容体はほぼすべての筋層平滑筋と粘膜内平滑筋に発現したが、その発現量には部位差があった。発現が少なかったのは食道粘膜筋板平滑筋、小腸筋層の最内層平滑筋、小腸粘膜内平滑筋、近位結腸筋層平滑筋であった。食道筋層の横紋筋では発現がなかった。小腸と結腸では平滑筋細胞の他に、カハールの間質細胞と呼ばれる細胞にM2受容体の発現が見られた。平滑筋での発現は細胞周囲に限局しており、免疫電顕の結果、細胞膜の細胞質側に免疫活性が限局し主にカベオラが多数分布する部位と一致した。更に、蛍光2重染色標本を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した結果、M2受容体の免疫活性はカベオラのマーカー分子であるカベオリンの免疫活性の存在部位と主に一致した。一方、平滑筋細胞には膜関連暗調小体を含む膜ドメインがあるが、そのマーカー分子と考えられるビンクリンの存在する部位とはほとんど一致しなかった。一方、カハールの間質細胞においてはM2受容体の発現が細胞膜のみではなく細胞質内にも瀰漫性に見られ、M2受容体の局在化機構に違いがあると考えられた。気管においても筋層を構成する平滑筋細胞にM2受容体は多量に発現していた。平滑筋細胞における分布様式は消化管筋層平滑筋と同様であった。肺内で気管支と肺動静脈の平滑筋を比較すると気管支壁にのみ発現するのが明瞭に確認できた。
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