2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝実質細胞の部位差に基づく領域区分と各種血管樹との肝葉内立体配置の観察
Project/Area Number |
13770017
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石川 朋子 日本医科大学, 医学部, 助手 (70212850)
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Keywords | 肝臓 / 肝実質細胞 / 肝細胞索 / 肝類洞 / 三次元再構築 / スンクス / 発生 / 部位差 |
Research Abstract |
肝葉内組織構築を立体的に捉えることを目的とし、本年度は、肝葉に領域区分をもたらす肝細胞の部位差の発現と肝細胞索の形成過程について、二次元および三次元観察と形態計測を行った。 スンクス胎生22、24、25、26、28、29日、生後0、2、4、11、16日および成獣は、ザンボニ液灌流固定後、肝臓を1ないし1.5μmのトルイジンブルー染色エポン連続切片とし以下の観察に供した。二次元形態計測では、小葉間静脈と中心静脈の間の領域に分布する肝細胞切片のうち、核を含むものを対象とし、肝細胞の面積、形状係数を測定、数値化した。三次元観察および形態計測では、1本の肝類洞が小葉間静脈から分岐し中心静脈に至るまでを連続的に追跡し、これに接するすべての肝細胞と共に立体再構築を行い、肝細胞の体積、形状係数を測定、数値化した。 胎生期の肝臓ははじめ造血細胞優位であるが、造血巣の衰退に伴い肝細胞索が発達する。形態計測および三次元観察から、肝細胞の成長および肝細胞索の形成過程は、以下の4段階に分けられた。(1)観察した胎生22〜28日:肝細胞は不定形を呈し、造血巣間に散在する時。(2)胎生29日〜生後0日:肝細胞はグリコーゲンを蓄積、特に門脈域では丸みを帯び、肝細胞索がほぼ完成する時。(3)生後2〜4日:肝細胞はグリコーゲンを消費し、特に中心静脈域で不定形を呈し、肝細胞索が再び不完全になる時。(4)生後11〜16日:肝細胞はほぼ均一に丸みを帯びた多角形を呈し、門脈域で大きく中心静脈域で小さいというスンクス特有の顕著な部位差を示し、肝細胞索が完成する時。 以上の結果より、スンクス肝細胞の形態的部位差は出生直前に発現し、生後成長に伴いさらに顕著になること、肝細胞索は出生直前に形成されるが、出生直後のグリコーゲン消費に伴い一時不完全となったのち、生後16日までには再形成され完成することが明らかとなった。
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