2002 Fiscal Year Annual Research Report
極長鎖脂肪酸による網膜組織形成の制御機構に関する研究
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13770018
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中沢 綾美 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (90273078)
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Keywords | 極長鎖脂肪酸 / 網膜 / ペルオキシゾーム / 形態形成 |
Research Abstract |
目的:ペルオキシゾームにのみ局在する代謝系により分解を受ける極長鎖脂肪酸(VLCFA)の網膜形態形成における役割を、正常およびVLCFA代謝酵素欠失動物を用いて明らかにする。VLCFAは網膜形態形成に重大な影響があるが、脂肪酸の種類により影響は異なり、多価不飽和脂肪酸(DHA)は網膜形態形成を促進し、飽和脂肪酸はその蓄積により網膜の層形成が阻害されるという逆の報告があり、実際には解明されていない。 組織材料:個体と器官における脂肪酸代謝を調べるために、正常およびAOX(-/-)マウスの動物個体と培養細胞・器官を用いる。それぞれについてVLCFA投与実験を行う。 方法:1)VLCFA投与:動物と培養組織に飽和脂肪酸または、多価不飽和脂肪酸を投与する。 2)形態観察:動物においては層構造の形成を、培養細胞においては形態変化と細胞増殖・アポトーシスを観察する。 結果:1)動物実験:AOX(-/-)マウスを用いた実験では網膜層構造の異常が観察され、個体への脂肪酸(サフラワー油;飽和脂肪酸、シソ油;多価不飽和脂肪酸)投与実験を継続中である。 2)培養実験:N1E115細胞を用いた神経細胞モデルへの投与実験では、VLCFAにより、突起形成の阻害が観察されると同時に細胞死が観察された。DHAの直接投与では細胞死が顕著であった。対照実験の長鎖脂肪酸では、突起形成の阻害、細胞死はともに観察されなかった。 結論:DHA(多価不飽和脂肪酸)は、個体レベルの神経系の発達には必要とされているが、培養神経細胞への細胞レベルの直接投与では、毒性があることが示唆された。網膜形態形成における必要性の判断については、継続中であるAOX(-/-)マウスへの投与実験に期待している。 現在、網膜における脂肪酸代謝酵素群の局在を論文に準備中である。
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