2001 Fiscal Year Annual Research Report
小腸における核内レセプターのリガンドシグナル伝達機序と遺伝子発現制御に関する研究
Project/Area Number |
13770034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
駿河 和仁 静岡県立大学, 食品栄養科学部・栄養学科, 助手 (70315852)
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Keywords | 核内レセプター / PPAR / LXR / FXR / 脂肪酸 / コレステロール / 胆汁酸 / 小腸 |
Research Abstract |
1.核内レセプター群および栄養素結合タンパク質群のcDNAクローニング:以下に示すcDNAをラット小腸の総RNAからRT-PCR法により新規にクローニングした。(1)コレステロール関連:LXRαおよびLXRβ、(2)胆汁酸関連:FXRおよびI-BABP、(3)脂肪酸関連:ACBP。いずれのcDNAもタンパク質を全てコードする領域を含んでおり、培養細胞内で発現可能な様に発現ベクターpcDNAにサブクローニングした。 2.核内レセプター群および栄養素結合タンパク質群のラット小腸における遺伝子発現性:PPARαはラット腸管においてL-FABPおよびI-FABPと同じ発現分布を示し、特に脂肪酸主要吸収部位である空腸において高い発現が見られ、PPARδやPPARγの腸管発現分布とは異なっていた。LXRαは、コレステロールの主要吸収部位である空腸において高い発現を示したが、LXRβはどの腸管部位でも同レベルの発現性を示した。OSBPは回腸下部において顕著な発現性を示し、LXRと異なる発現分布と示した。FXRはI-BABPと同様に回腸下部において顕著な発現性が見られ、胆汁酸の再吸収部位とよく対応していた。ラット誕生前後(19日胚、0日齢、3日齢)の小腸における発現では、PPARαはL-FABP、I-FABPと同様誕生直後に増大を示したが、PPARδは変動を示さなかった。一方、LXRαおよびOSBPも誕生直後に増大を示したが、LXRβは変動を示さなかった。食餌摂取による遺伝子発現への影響は、高脂肪食により空腸のPPARαはL-FABPおよびI-FABPと同様に増大を示したが、PPARδは顕著に低下した。高コレステロール食では、LXRα、LXRβ共に増大を示したが、OSBPは変動を示さなかった。高コール酸食では回腸下部におけるFXRおよびI-BABPの発現量の増大が見られた。以上の結果から、小腸においてはPPARαが脂肪酸をリガンドとして機能し、FABPがそのリガンド輸送に関与していると考えられた。またオキシステロールをリガンドとするLXRでは、αタイプが主要な役割をしており、OSBPはそのリガンド輸送に関与していないものと考えられた。胆汁酸をリガンドとするFXRは、I-BABPをリガンド輸送タンパクとしているものと考えられた。
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[Publications] Mochizuki K, Suruga K, Yagi E et al.: "The expression of PPAR-associated genes is modulated through postnatal Development of PPAR subtypes in the small intestine"Biochimica et Biophysica Acta. 1531. 68-76 (2001)
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[Publications] Mochizuki K, Suruga K, Kitagawa M et al.: "Modulation of expression of peroxisome proliferator-ativated receptor-Dependent genes through disproportional expression of two subtypes in the small intestine"Archives of Biochemistry and Biophysics. 389. 41-48 (2001)
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[Publications] 合田敏尚, 駿河和仁, 高瀬幸子: "脂肪酸核内受容体PPARによるビタミンA/脂肪酸吸収関連遺伝子の転写調節"消化と吸収. 24. 39-43 (2001)
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[Publications] Mochizuki K, Suruga K, Sakaguchi N et al.: "Major intestinal coactivator p300 strongly activates peroxisome proliferatoractivated receptor in intestinal cell line, Caco-2"Gene. (in press). (2002)