2002 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部における細胞外cAMPの作用とその機序の解析
Project/Area Number |
13770036
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
野口 淳 産業医科大学, 医学部, 助手 (00330978)
|
Keywords | cAMP / 視床下部 / 視索上核 / パッチックランプ法 / アデノシン / 神経内分泌 / ニューロン / シナプス |
Research Abstract |
プリン誘導体の一つであるcAMPは、種々の受容体刺激によって細胞内で生成される細胞内情報伝達物質であり,その一部が細胞外へ排出・流出されることが広く知られている。しかしながら、放出されて細胞外に存在するcAMPが、生体においてどのような機能をはたしているのかは殆ど知られていない。本研究は,細胞外cAMPが視床下部視索上核(SON)の神経分泌ニューロンに及ぼす生理的機能について検討することを目的としている。 ラットSONニューロン単離細胞標本およびスライス標本を作成し、ホールセル・パッチクランプ法を用いて、シナプス後膜および、前膜での作用について検討した結果、以下のことが明らかとなった。 シナプス後膜 細胞外cAMPは、細胞膜表面のエクト型酵素群により代謝されてアデノシンとなり、アデノシンA1受容体を介してG蛋白βγサブユニットが直接Ca^<2+>チャネルに結合して電流を抑制したことが示唆された。内因性細胞外cAMPの起源としては、SON神経分泌ニューロンからのcAMPの細胞外への事故分泌による経路は存在しないことが示唆された。 シナプス前膜 自発性シナプス後電流を測定し、シナプス前におけるグルタミン酸放出、およびGABA放出への細胞外cAMPの作用を検討した。細胞外cAMPは抑制性シナプス後電流の発生頻度を濃度依存的かつ可逆的に抑制したがその電流の振幅については変化を生じなかった。また、興奮性シナプス後電流については、電流の発生頻度、振幅とも変化を生じなかった。抑制性シナプス後電流の発生頻度の機序に関しては、細胞外cAMPは、シナプス前膜の場合とはことなり、細胞膜表面のエクト型酵素(ecto-5'-nuclotidase)により代謝されてAMPとなり、このAMPがシナプス前膜のアデノシンA1受容体を刺激して抑制反応が生じていることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)