2001 Fiscal Year Annual Research Report
血管収縮筋細胞を収縮型から合成型へ転換させるシグナル伝達系路の解明
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13770041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
熊谷 啓之 群馬大学, 医学部, 助手 (20321945)
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Keywords | 血管平滑筋 / 形質転換 / シグナル伝達 / 血小板由来増殖因子 / 核移行 / クローニング / レトロウイルスベクター / GFP融合 |
Research Abstract |
動脈硬化や冠動脈狭窄に代表される増殖性血管病変は、血管平滑筋の形質転換によるものと考えられる。その機序としては、中膜に存在する「収縮型」の平滑筋細胞が種々の細胞外要因により「合成型」となって内膜に遊走し、増殖するものと考えられている。これまで、その細胞外要因の知見に関してはめざましい進歩があったが、細胞内でどのような変化が起こっているか、この分子機序については不明な点が多い。そこで私は、「収縮型」から「合成型」への形質転換を制御する蛋白をクローニングすることにより、そのシグナル伝達経路を解明しようと考えた。中でも特に、PDGF(血小板由来増殖因子)等、形質転換を誘導するシグナルに反応し、細胞質から核へ移行する分子の単離を念頭においた。それは、これまでの新規シグナル伝達分子クローニングの仕事では着目されなかった核移行という現象に着目することにより、従来単離不能であったシグナル伝達分子群が得られると予測したからである。手段としては、レトロウイルスのGFP融合cDNA発現ライブラリーを用い、平滑筋細胞内でPDGF-BBに反応して細胞質から核へと移行する蛋白のcDNAを得る方法を用いる。この方法は、私が新規に考案したものであり、稼動することが判明すれば、特許出願も念頭においている。現在までに、レトロウイルスGFP融合cDNAライブラリーの作成、その、細胞感染時における発現の確認など、基本的な準備は完了している。今後は、(1)まず、本方法が稼動するかどうかの確認、(2)実際のスクリーニング、(3)得られた分子の同定および既存のシグナル伝達経路上における位置づけを行っていく予定である。
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