2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管壁の炎症としてのBuerger病―成因と鑑別診断を探る病理学的研究
Project/Area Number |
13770079
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
倉田 厚 杏林大学, 医学部, 助手 (10302689)
|
Keywords | Burger病 / 動脈硬化症 / 血栓塞栓症 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
【目的】Buerger病(Thromboangiitis obliterans ; TAO)の病理組織について、動脈硬化症や血栓塞栓症と対比して、免疫組織化学的検索を行うことおよびその意味の検討を目的とした。 【症例・方法】東京大学医学部附属病院ならびに関連施設にて、壊疽により切断された下肢検体の閉塞動脈の病理組織94例および同病院の病理解剖により収集された左下肢の動脈31例を用いて、リンパ球、マクロファージ、血管内皮細胞、増殖因子等の局在の差を明らかにするために、免疫組織科学的検索を行った。TAOに関しては、臨床診断基準5つを全て満たす群(第一群:12例)とそのうち4つを満たす群(第二群:17例)を抽出してさらに検討した。免疫組織化学的検索の結果は、血管壁の場に分けて各々計測し、さらには統計解析ソフトSpearman's rank correlationを用いて検討した。 【結果・考察】TAOと診断された症例は、動脈硬化症や血栓症とは異なり、内膜に出現するマクロファージの比率が有意に低く(p<0.01)、血管壁全体にCD4陽性のTリンパ球が有意に多かった(p<0.05)。また、第一群では内弾性板に沿ってリンパ球やマクロファージが集積する像がみられ、動脈硬化症や血栓症との有意な差がみられたが(p<0.01)、第二群ではそのような像がみられなかった。血管内皮細胞はTAO症例においては内弾性板周囲や外膜に多く認められ、これらは増殖因子が陽性のものも散見された。これらの結果から、TAOは免疫組織化学的に動脈硬化症や血栓塞栓症と鑑別可能な独立した疾患であることが示唆され、TAOの病因としては微小血管障害に続いて弾性板障害がみられる可能性が考えられた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Iwase H: "Clinically unidentified dissection of vertebral artery as a cause of cerebellar infarction"Stroke. 32・6. 1422-1424 (2001)
-
[Publications] 倉田 厚: "血管炎としてのBuerger病-動脈硬化,膠原病,血栓症と対比した免疫組織化学的検討"日本病理学会会誌. 89・1. 348-348 (2000)
-
[Publications] 倉田 厚: "回腸に多発潰瘍を呈したBuerger病の一例"日本病理学会会誌. 91・1. 287-287 (2001)
-
[Publications] Kurata A: "Different immunophenotype in Buerger's disease"Pathology International. 53(in press). (2003)