2001 Fiscal Year Annual Research Report
精製抗レトロウイルスgp70自己抗体静注による肺動脈炎モデルの確立とその解析
Project/Area Number |
13770116
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田端 信忠 近畿大学, 医学部, 講師 (40298948)
|
Keywords | MRL / lprマウス / 内在性レトロウイルス / gp70 / 自己抗体 / 肉芽種性血管炎 / 糸球体腎炎 / リウマチ性疾患 |
Research Abstract |
【目的】MRL/lpr等の自己免疫病自然発症モデルマウスでは、致死性の糸球体腎炎に加え、壊死性あるいは肉芽腫性の血管炎・破壊性関節炎・間質性肺炎など、ヒトのリウマチ性疾患に見られる各種の組織病変を自然発症する。一方、ヒト自己免疫病に見られる種々の組織病変が、それぞれの病変に特有の「疾患特異抗体」により誘発されるのか、同一の自己抗体が種々の組織病変を誘発するのかは議論が絶えない。本研究では糸球体腎炎誘発能を有する単クローン性の病原性自己抗体を用い、これが肉芽腫性血管炎をも再現性良く誘発出来るか否かを検討した。 【方法】我々は無処置のMRL/lprマウスから、自己抗原である内在性レトロウイルスenv遺伝子産物と反応する多数の抗gp70自己抗体産生性ハイプリドーマクローンを樹立し、これらのうちIgG3サブクラスに属する抗gp70自己抗体を精製抗体として同系正常(BALB/c×MRL)F-1マウスへ静注することにより、gp70の沈着を伴う糸球体腎炎モデルを確立してきた(Tabata N et al., J. ViroL,74:4116-4126,2000)同時に、この過程においてIgG2a産生性の抗gp70自己抗体産生性ハイプリドーマクローンのうち136D1.1a細胞を正常同系(BALB/c×MRL)F_1マウスへ移入することによりthrombotic thrombocytopenic purpura (TTP)様の病変を来すことを見い出した(Hashimoto K. et al., Gun. Exp. Ummunol.,119:47-156,2000;Miyazawa M. et al., Int. J. Cardiol.,75 Suppl 1:S65-73,2000)。そこで今回、単一クローンの精製抗gp70自己抗体を正常同系(BALB/c×MRL)F1マウスに静注し、全身臓器を採取・固定し、肉芽腫性肺動脈炎病変の有無を経時的に詳細に検討した。 【結果】肺の小動脈に肉芽腫性血管炎が発生した。病変発生頻度は静注終了後4日目が最も高く、約70%に達した。病変は外膜側への好中球・マクロファージの浸潤・集積と、内皮下への好中球侵入を特徴とし、一部を除き中膜の破壊は軽度であった。肺以外に肉芽腫性血管炎は見られなかった。以上の結果により、糸球体腎炎のみならず肉芽腫性血管炎の発生にも、抗gp70自己抗体が関与することを直接的に証明でき,再現性の高い血管炎モデルを確立することが出来た。
|
Research Products
(1 results)