2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770137
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
金子 正裕 北里大学, 理学部, 助手 (30327449)
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Keywords | 結核菌 / 糖脂質 / TLR / LAM / LPS / ルシフェラーゼアッセイ / ラフト |
Research Abstract |
自然免疫において、Toll-like receptor(TLR)は様々な菌体成分をパターン認識する重要な受容体として機能する。マクロファージに発現したTLRを介してシグナルが伝達されることにより、種々のサイトカインやケモカイン産生が誘導される。グラム陰性菌の外膜に存在するリポ多糖(LPS)はTLR4/MD2を介して認識される。結核菌を含むミコバクテリアの細胞壁にはミコール酸含有糖脂質のtrehalose dimycolate(TDM)等に加えて、phosphatidylinositolにmannoseが結合したphosphatidylinositol mannoside(PIM)、さらにmannnoseとarabinoseが結合したlipoarabinomannan(LAM)など種々の糖脂質が存在する。これら糖脂質はマクロファージ活性化能を有し、結核病態形成に重要な菌体成分である。本研究では、結核菌由来糖脂質のシグナル伝達機構を解明するため、各TLRのトランスフェクタントを用いてNF-κB依存的ルシフェラーゼアッセイを行った。LAMおよびPIMは、CD14依存的にTLR2を介してシグナル伝達することが明らかとなった。次に、TLR4のリガンドであるLPSとTLR2のリガンドであるLAMによるマクロファージ活性化と脂質ラフト形成が関与するかを明らかにするため、マウスマクロファージ様株RAW264.7細胞をLPSおよびLAMで刺激したときの変化について検討した。LPSまたはLAM刺激したRAW264.7細胞をFITC-CTBで染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、細胞膜上にラフトマーカーであるGM1の集合が認められた。コレステロール除去剤であるMCD処理したRAW264.7細胞をLPS刺激しても、脂質ラフトの集合は認められなかった。さらに、LPSで刺激した細胞を抗TLR4抗体および抗CD14抗体を用いて共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、TLR4およびCD14が共にラフトに集合していた。MCD処理したRAW264.7細胞をLPS刺激してもNF-κBの活性化は認められなかった。ショ糖密度勾配遠心により、ラフト分画を調製し、SDS-PAGEおよびWestern blottingを行なったところ、ラフト分画にCD14およびTLR4の存在を認めた。以上の結果から、TLRにリガンドが結合すると脂質ラフトを形成することによりシグナルを細胞内へ伝達することが明らかとなった。
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