2001 Fiscal Year Annual Research Report
髄膜炎菌の宿主細胞侵入性に関与する新規病原因子の探索
Project/Area Number |
13770142
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
高橋 英之 国立感染症研究所, 細菌部, 研究員 (60321866)
|
Research Abstract |
髄膜炎菌は数ある髄膜炎菌起炎菌の中で唯一流行性髄膜炎を起す危険な菌であり、英国やノルウェーといった欧米の髄膜炎菌性髄膜炎の多発国を中心にその研究が進められている。一方で細菌の解析の主流を占めてきた分子生物学的手法は髄膜炎菌ではまだ未開発の部分が多く、それが髄膜炎菌の研究の推進の障害の一つであった。そこで報告者は分子生物学的手法としては最も常識的なプラスミドの髄膜炎菌への適用を試みた。適用可能なプラスミドを探索し、その導入法と共に様々な条件下で検討を行なった。その結果、腸内細菌を中心として広く保持能力のあるIncQ Broad host range vector, pGSS33が導入可能であることを発見した。さらにその導入方法に関しては自然形質転換法やエレクトロポーレーション法を試みたが、いずれも良好な結果は得られず、唯一形質転換大腸菌株を供与株とした三親接合法でのみpGSS33の導入が可能であることを見出した。さらにはその条件の最適化を行い、10^<-5>程度の実用的効率化に成功した。 一方でpGSS33の髄膜炎菌へのベクターとして有効性に関しても詳細な解析を行ない、相補試験に適用可能であり、プラスミドとして安定に髄膜炎菌内に存在可能であることを証明した(H.Takahashi and H.Watanabe, Microbiology,2002)。 さらに上記の確立した手法を用いて髄膜炎の新規病原因子の探索を試みた結果、通常の臨床医学では髄膜炎菌の確定マーカーとして一般的に認識されているγ-glutamyl aminopeptidase (GGT)の病原性への関与の可能性を見出し、解析を行なった。その結果、宿主細胞への感染ステップへの関与は認められなかったが、GGTは髄液などのシステインが限られた環境中で成育する上でγ-glutamyl peptidesからシステインを取り出して供給する生理学的機能を保持し、その病原性への関与も示唆された(投稿準備中)。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Hideyuki Takahashi, Haruo Watanabe: "Broad-host-range vector of incompatibility group Q can work as a plasmid vector in Neisseria meningitidis : a new finding as a genetical tool"Microbiology. 148. 229-236 (2002)
-
[Publications] 高橋英, 渡辺治雄: "細菌のゲノム解読と臨床への利用、髄膜炎菌"臨床と微生物. 28・6. 797-804 (2001)