2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770164
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
穂積 勝人 東海大学, 医学部, 講師 (30246079)
|
Keywords | Notch / GATA3 / 胎仔胸腺器官培養 / IL-7 |
Research Abstract |
Notchは広く保存された遺伝子で、種々の細胞の系列決定に関与することが知られている。近年、Notch-1誘導型遺伝子欠損マウスが樹立され、すべての血液細胞の中で、T細胞のみが消失することが報告された。一方、T細胞特異性の高い転写因子GATA3は、同様の遺伝子欠損形質を示すことから、両分子は、リンパ系幹細胞からT細胞系列に分化決定される際に、非常に重要な役割を果たしていることが予想された。本研究では、造血幹細胞を含む未分化細胞から、T/B細胞が分化する際の、上記2つの分子の役割をin vitroで解析するシステムの確立を試み、両分子がいかなる関係でT細胞分化を制御しているのか、その分子機構の解明を目指した。 胎齢15日マウス胎仔肝臓細胞より、Lin(-)c-kit(+)細胞をsortingにて純化し、支持細胞OP9およびIL-7存在下に培養し、B細胞ならびに顆粒球系細胞への分化を誘導した。また同時に、dGuo処理胎仔胸腺ヘHD培養により導入し、IL-7存在下FTOC培養により、T/B両細胞への分化も観察した。その際、活性化体であるNotch-1細胞内ドメイン(ICN1)、あるいはGATA3cDNAを、retrovirus-vectorを用いて遺伝子導入し、その影響を観察した。 ICN1を導入した場合は、0P9/IL-7培養系では、B細胞系、顆粒球系、いずれの系列への分化もほぼ完全に阻害された。一方、HD/FTOC系では、先と同様B細胞の出現は完全に抑制されたが、T細胞は十分に分化していた。Notchシグナルは、ある種の細胞の分化を抑制することが知られ、それとは別に、2種以上の系列への分化が可能な際にどちらか一方への分化を選択的に誘導するという2つの事象が知られている。本系では、顆粒球系の分化は抑制され、T/B決定期では、T系列の分化を誘導した。これに対し、GATA3を導入した場合は、0P9/IL-7培養系ではB細胞分化のみを完全に抑制し、HD/FTOC系でも同様に、B細胞分化を抑制した。 以上のことから、GATA3は、T/B分化決定期にて、Notchシグナルと非常に類似の機能を保持することが明らかになった。今後両者の機能不全系におけるそれぞれの補完性を調べる実験を通して、両者の関係をより明確にする予定である。
|