2001 Fiscal Year Annual Research Report
手すりを利用した脳卒中片麻痺患者のズボン上げ下げ動作の力学的解析
Project/Area Number |
13770188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鴻 真一郎 金沢大学, 医学部, 助手 (20303290)
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Keywords | 脳卒中 / 片麻痺 / 手すり / 排泄動作 / ズボン上げ下げ動作 / 重心動揺 |
Research Abstract |
脳卒中片麻痺者のトイレ動作制限においては,ズボンの上げ下げに介助を要するケースが少なくない.その方法に関して教科書的には壁や便座の縁,手すりにもたれて行うとされているが,その適応や詳細な技術までは述べられていない.本研究では,手すりの高さと位置が調節可能な評価器具を作製し,脳卒中片麻痺者が寄りかかってズボンを上げ下げするための手すりの適応と有効な位置を検討した. 検者は同意が得られた50名の片麻痺者の下肢Br-stage,健側大腿四頭筋のMMT,触覚,失行,失認,痴呆の有無を評価した後,手すりに寄りかかって行うズボン上げ下げ動作の自立度と重心動揺を測定した.測定機器には底板と4本の支柱からなる評価器具を作製し,底板の上に重心測定板を設置した.手すりの位置は対象者の前方に腋下高-5cmの高さに設置した腋下前手すり,対象者の前方に大転子の高さに設置した大転子前手すり,対象者の健側横に大転子の高さに設置した大転子横手すり,対象者の健側横に縦向きに設置した縦手すりとした. その結果,下肢Br-stageがIII・IVで健側大腿四頭筋MMTがGの場合,ズボン上げ下げ動作を行うためには手すりに寄りかかれば可能であることがわかった.つまり,両下肢の支持性はあるものの不十分で,立位バランスが不安定な場合には寄りかかるための手すりが適応となるものと考えられた.また,手すり位置の違いにおける動作中の重心動揺距離は対象による値のばらつきが大きかったものの,腋下前手すり,縦手すりでの動作が大転子前手すり,大転子横手すりでの動作に比べて小さい傾向にあり,より安定して動作が可能と考えられた.値のばらつきが大きいことは人によって動作の仕方が異なることを示唆しており,適応判断や使用法指導においては1人1人について動作をよく観察する必要があると考えられた.
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