2002 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧家系における好中球機能および酸化ストレスの検討
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13770201
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
大森 正規 自治医科大学, 医学部, 助手 (90326827)
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Keywords | 高血圧 / 好中球機能 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
これまで我々は、ヒト本態性高血圧症のモデル動物である高血圧自然発症ラットでは、老若に関わらず末梢血中の好中球機能が亢進しており、血管拡張薬であるベラプロストを投与することによってその機能を濃度依存的かつ用量依存的に抑制できることを明らかにした(Ohmori M et al.,Am J Hypertens 200;14:722-728)。薬物治療により臓器障害を抑制できる可能性を示す結果であった。また同様に、高血圧自然発症ラットにおいて、好中球の活性化が鍵となる肝臓の虚血再還流を惹起した場合、好中球の肝臓組織への浸潤の増加に伴って肝機能障害が増悪することを見出した。この結果は、血圧が高いことが好中球刺激を介して臓器障害を容易に発症する準備状態にあることを示唆する結果であった。さらに、高脂血症治療薬であるプラバスタチンはコレステロール低下作用と別に、好中球機能を抑制することが知られている。そこでラットの肝臓の虚血再還流障害に対する効果を検討したところ、プラバスタチンは濃度依存的かつ用量依存的に好中球機能を抑制し、かつ虚血再還流障害を軽減することを明らかにした(第107回日本薬理学会関東部会,山梨,10月3日,2002)。以上の動物を対象とした成績は、臓器障害の発症および進展を防止する治療法につながる成果であると考えられる。 若年正常血圧者の好中球スーパーオキサイドアニオン産生能等の測定に関しては、課題名「高血圧家族歴と好中球機能亢進症および酸化ストレスとの関連に関する研究」として本大学の生命倫理審査委員会の承諾を取得後、本学の医学部学生の追加エントリーを行っているところである。
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