2001 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性疾患の遺伝的素因としての好酸球遊走・活性化因子受容体の遺伝子多型の同定
Project/Area Number |
13770242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
岸本 成史 帝京大学, 薬学部, 助手 (60234217)
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Keywords | アトピー性疾患 / 遺伝子多型 / 好酸球 / 遊走・活性化因子 / 受容体 / 血小板活性化因子 |
Research Abstract |
近年、アトピー性疾患の有病率は増加の一途を辿っており、本疾患のより効果的な予防法や治療法の確立が求められている。私はこれまでにアトピー性気管支喘息患者の好酸球において、血小板活性化因子(PAF)受容体の発現が遺伝子レベルで増加していることを明らかにしている。本研究では、このような好酸球遊走・活性化因子受容体の発現に差異をもたらす様な遺伝子多型が存在するのか、また、その受容体の機能に変化を与えるような遺伝子多型が存在するのか否かを明らかにすることを目的として種々の検討を行っている。 今年度は、まず、より多数のアトピー性疾患患者の末梢血好酸球についてPAF受容体遺伝子の発現量を比較したところ、健常人のものと比べ有意にその発現量が増加していることを確認すると同時に、その内の1例で他の患者よりも顕著(約2倍、対健常人比で4倍)に増加している知見が得られた。現在、この患者の染色体DNA上のPAF受容体遺伝子のプロモーター領域中に多型が存在するか否かを解析中である。なお、これらの好酸球検体について、fMLP受容体、C5a受容体、CCR1、CCR3、CXCR1などの遺伝子の発現も比較しているが、CCR3の様に患者ではその発現が有意に減少しているものはあるものの、患者の間でその発現に大きな差が見られるものは現在のところ確認されていない。 また、PAF受容体の翻訳領域中の多型についても、数例の患者について検討を行ったところ、サイレント変異は存在するものの、少なくともアミノ酸の置換を伴うものは今のところ確認されていない。今後、PAF受容体遺伝子について、例数を増やして引き続き多型の解析を行うとともに、ロイコトリエン受容体などについても同様の検討を加えていく予定である。
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