2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性膵炎発症モデルによる膵炎の発症機序解明と遺伝子治療の検討
Project/Area Number |
13770254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長崎 裕 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (50332507)
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Keywords | 遺伝性膵炎 / アデノウイルスベクター / カチオニックトリプシノーゲン / PRSS1 / PSTI / SPINK1 / 病因遺伝子解析 / 膵炎発症モデル |
Research Abstract |
これまで適切なモデル動物の無かった慢性膵炎において、慢性膵炎発症機序の遺伝子レベルの検討、他の発症要因との関連の解析や遺伝子治療を含む慢性膵炎の治療の可能性を探ることを目的として、組み換えアデノウイルスベクター(Adx)を用いたHP発症モデル系を確立を計画した。 平成13年度は組み換えアデノウイルスベクター(Adx)の作成を行った。 治療のために手術時に核出された膵組織について、制限酵素サイトを付けたプライマーを用いて正常カチオニックトリプシノーゲン(PRSS1)遺伝子のcDNAをRT-PCR法にて得、プラスミドに挿入してサブクローンした。 またR122H及びN291変異PRSS1遺伝子は変異導入用プライマーを作成し、QuickChange Site-Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE, La jolla, U.S.A.)を用いて正常PRSS1遺伝子を含むプラスミドに導入した。これらを大腸菌で増幅し、配列を確認した。 正常、R122H及びN291変異PRSS1遺伝子について遺伝子導入を確認するためにEpitope Tagを付加した場合、酵素活性に差が出るかどうかを検討するためそれぞれTag付きとTagなしののコンストラクトを作製している。これをAdenovirus Exsression Vector Kit(Takara、京都市、日本)を用いてE1A、E1B、E3を欠損し、増殖能を失ったアデノウイルスを含むコスミドpAxCAwtに挿入し、制限酵素EcoT22Iで消化した親adenoと293細胞内で相同組み換えさせ、非増殖型Adxを得て、限界希釈により適当なクローンを選択し、293細胞を用いて培養、精製濃縮調整中である。 平成14年度はこのベクターを用いて1)既知の遺伝子変異による膵炎の発症の実証、2)PRSS1の構造から予測される未報告の遺伝子変異による膵炎発症、アルコール、脂肪食、ストレス等の誘因の付加による膵炎発症への影響の評価並びに変異PSTIによる膵炎発症の助長やPSTI強発現による膵炎予防の検討、3)変異による酵素の細胞内動態の検討、4)膵酵素分解阻害剤などの膵炎発症予防効果の評価、5)変異PRSS1遺伝子長期発現系からの慢性膵炎モデルの確立の可能性等を検討していく予定である。
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