2001 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎ウイルス変異株におけるウイルス蛋白発現抑制に関する研究
Project/Area Number |
13770256
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡辺 久剛 山形大学, 医学部, 助手 (00332536)
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Keywords | B型肝炎ウイルス / X遺伝子 / 遺伝子変異 / 分子生物学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、サイレントB型肝炎およびB型慢性肝炎の自然経過におけるX領域の遺伝子学的特徴を検討し、変異株が、ウイルス蛋白発現抑制を介して、ウイルスの持続感染成立機序に関与している事実を明らかにすることである。遺伝子解析および臨床データ解析についての同意が得られたB型肝炎患者200例を対象とした。これまでの研究から確立したX遺伝子領域におけるPCR法を用いて、B型肝炎ウイルス(HBV)DNAの増幅を行い、83例においてX遺伝子の増幅を認めた。うち、22例でX領域に大きな欠失変異を認めた。これら欠失変異の有無による臨床的特徴の差異を比較したところ、X遺伝子変異を有する群では、変異を認めない群と比較し、有意にtransaminaseとHBV DNA量の低下を認めた。このことから、X遺伝子の欠失変異珠はHBV野生株の増殖を抑制している可能性が示唆された。さらに直接塩基決定法にてその変異を解析したところ、いずれの症例も200塩基に及ぶほぼ共通の領域が欠失していることが明らかとなったが、必ずしも一致するものではなく、欠失部位の差異によりいくつかの変異株に分かれることがわかった。 これら変異殊による野生株の蛋白発現抑制をin vitroで確認する目的で、HBV X領域欠失変異体を作成した。まずHBV全長クローンをhead-to-tailの形でプラスミドへ導入し、HBVの蛋白をすべて発現する系を作成した。次に当大学組み換えDNA実験安全委員会による承認のもと、ゲノム解析で明らかとなったX領域欠失部位をもとに欠失変異株すべてをそれぞれプラスミドへ導入した。そのご大腸菌にトランスフォーメーションさせて、プラスミドを精製し、種々の欠失長のX領域変異体を作成した。 次にこれら遺伝子組み換えプラスミドの細胞内導入実験を行った。上記で作成した野生株プラスミドと変異株プラスミドを単独および同時にそれぞれin vitroでHepG2の培養細胞へトランスフェクションさせ、培養開始から72時間後の培養液中およびプラスミド感染後の培養細胞溶解物のHBV関連抗原の定量測定を行った。現在、種々の変異株を共感染させて、発現蛋白の変化を検討しているところである。
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