2001 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎惹起時の全消化管平滑筋細胞における一酸化窒素合成酵素の発現変化とその制御機構
Project/Area Number |
13770264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本村 廉明 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30304827)
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Keywords | 一酸化窒素合成酵素 / 消化管運動 / 平滑筋細胞 |
Research Abstract |
我々はある種のペプチドホルモンがモルモット消化管平滑筋細胞内の一酸化窒素合成酵素(NOS)を介し平滑筋弛緩を惹起することを報告してきた。この平滑筋細胞内NOSに関して、消化管各部位からの新鮮単離平滑筋細胞標本を用いたノザンブロットによる検討では、内皮型NOS(eNOS)および神経型NOS(nNOS)mRNAが同時に発現し、部位によりそのバランスが異なっているという結果を得た。これはNOが比較的短時間の消化管平滑筋弛緩に働くことを考えると各部位の消化管運動の特徴ともよく一致しており、NOS発現量の違いが消化管の部位によって異なる運動に大きな役割を果たしていることを示唆している。そこで、(1)消化管各部位の平滑筋細胞内NOSの局在を明らかにするためeNOS、nNOSの特異的抗体を用い免疫染色を行った。また、(2)新鮮単離平滑筋細胞標本よりさらに純粋な標本を得るため消化管平滑筋細胞の初代培養系を作成し、NOSの発現をRT-PCR法にて確認した。 (1)eNOSの免疫反応はモルモット胃、小腸、盲腸、大腸の平滑筋内に認められ、小腸で強い傾向にあった。これは前述のノザンブロットの結果とよく一致しており、小腸において平滑筋細胞内で合成されるNOがより重要な役割を果たしていることを示唆するものと考えている。nNOSの免疫反応は平滑筋では明らかでなく神経細胞に一致して認められた。 (2)モルモット盲腸輪走平滑筋細胞の初代培養系を作成した。RT-PCR法によりeNOS、nNOS mRNAの発現を確認したところ、両方のmRNAとも発現していることを確認した。免疫染色では平滑筋にはeNOSのみ確認されたことから、定常状態において優位に発現し平滑筋弛緩に関わっているのはeNOSであり、nNOSは他の役割を担っているのではないかと考えている。今後さらなる検討が必要と思われる。`
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