2001 Fiscal Year Annual Research Report
核内リセプターPPARγを標的とした新しい慢性大腸炎に対する治療法の開発
Project/Area Number |
13770271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小池 祐司 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50306693)
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Keywords | PPARγ / 15d-PGJ2 / 腸管免疫 / TNF-α / Tリンパ球 / 炎症性腸疾患 / チアゾリジン系薬剤 |
Research Abstract |
核内レセプターPPARγは脂肪細胞や免疫組織、副腎、消化管粘膜に発現しており脂肪細胞の分化・増大、グルコース代謝の調節に深く関わっている。15d-PGJ2、チアゾリジン系薬剤(TZDs)がPPARγに対するリガンドでありTNF-αの作用に拮抗することが最近示された。潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性炎症性腸疾患では活性化した単球・マクロファージのみならず活性化Tリンパ球、上皮細胞からもTNF-αが産生され局所サイトカイン・ケモカインネットワークのトリガーになり、腸管局所において炎症を惹起・持続させている。今回の研究ではPPARγリガンドのin vitroにおける培養リンパ球、上皮細胞に対する増殖、サイトカイン産生に対する影響およびそのメカニズムを追究した。 Tリンパ球由来のJurkatおよびマクロファージ由来のU937のいずれにおいてもPPARγの発現をみとめた。健常人より単離した末梢血および大腸粘膜内単核球においてもPPARγの発現をみとめた。またPMAとionomycin、抗CD3抗体と抗CD28抗体による刺激にてもPPARγの発現は変化せず、Tリンパ球においては比較的constitutiveに発現していると考えられた。健常、潰瘍性大腸炎、クローン病大腸粘膜いずれにおいてもPPARγの発現量はかわらず、炎症においてその発現が影響を受けないと考えられた。 さらに、これらのPPARγを発現している細胞に対するPPARγリガンドの作用を検討した。JurkatおよびU937のいずれに対してもPPARγに対するリガンドである15d-PGJ2、ピオグリタゾンとも増殖活性を抑制した。末梢血単核球、軟膜内単核球に対してもPMAとionomycin、抗CD3抗体と抗CD28抗体による刺激に対して増殖活性およびIL-2産生を抑制したが、15d-PGJ2の方が抑制効果が濃度依存性にピオグリタゾンに比して強かった。15d-PGJ2はIL-12+IL-18刺激によるインターフェロンγ産生に対しても抑制効果を示した。 今後腸炎モデルマウスに対する、in vivoでの有効性の評価を行う必要があると考えられる。
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