2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維化発症におけるCOX-2の機能関与とその調節に関する研究
Project/Area Number |
13770296
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
遠藤 健 徳島大学, 医学部, 助手 (60332813)
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Keywords | マウス / ブレオマイシン / 肺臓炎モデル / COX-1 / COX-2 |
Research Abstract |
間質性肺炎/肺線維症には原因不明な特発性肺線維症の他、薬剤や放射線、膠原病などによっておこる続発性肺線維症がある。その発症機序はいまだ不明な点が多く、有効な治療法も少なく予後不良な疾患である。そこで、我々は間質性肺炎/肺線維症の発症機序を解明するために、マウスにブレオマイシンを持続皮下投与し、間質性肺炎/肺線維症のモデルを作製した。ブレオマイシン投与1,2,3,4,5,6および8週後に肺を摘出した。肺の組織学的変化をみた基礎的検討では、肺病変はブレオマイシン投与4週頃から発現し、徐々に進行していくことが示された。また、間質性肺病変は胸膜直下の肺組織に強く認められ、人の特発性肺線維症や膠原病による肺線維症と類似の組織所見がみられることが分かった。我々は全肺を用いてtotal RNAを抽出し、ノーザンブロット法にてcyclooxygenase(COX)-1およびCOX-2のmRNAの発現を測定し、非投与群の発現結果と比較検討した。その結果、COX-1 mRNA発現はブレオマイシン投与群と非投与群の間に有意な差は認められなかったが、COX-2 mRNAの発現はブレオマイシン投与群が非投与群に比べて、やや低い結果が得られた。恒常的に発現しているCOX-1と比較してCOX-2は炎症時に発現増強することが知られていることから種々の炎症性疾患に関与している可能性が示されている。本研究によってCOX-2は肺の線維化に対してはむしろ抑制的に働いており、COX-2発現の低下が肺線維化病態に深く関与している可能性があることが示唆された。
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