2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維化における線維化抑制物質(デコリン)による発現遺伝子の変化とその解明
Project/Area Number |
13770313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
仲谷 達也 近畿大学, 医学部, 助手 (40319661)
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Keywords | 筋線維芽細胞 / デコリン / p21 / α-平滑筋アクチン / 制止期 |
Research Abstract |
Decorinの発現は細胞増殖と密接に関係しており、静止期にある線維芽細胞は増殖期の細胞に比べて多量のDecorinを産生している。また、ある腫瘍細胞ではDecorinの発現の増加がcyclin-dependent kinase inhibitorの1つであるp21の発現を高め、細胞周期をG1期で止めるとされている。 [方法]ヒト肺筋線維芽細胞株MRC-5を用いて、接触阻害による静止期と血清除去による静止期を作製し、経時的に細胞数、細胞の活性化の指標となるα-smooth muscle actin (SMA)蛋白発現量、Decorin及びp21 mRNA発現量を比較した。細胞数はWST-8assay、蛋白発現量はwestern blot analysis、mRNA発現量はQuantitative RT-PCRにより解析した。 [結果]細胞数は血清添加培地、無添加培地の両者とも3日目よりほとんど増減がなく、Decorin及びp21 mRNA発現量も両者ともこの時期より上昇し始め、その経時的変化は相関していた。しかし、p21 mRNA発現量は両者に差はなかったが、Decorin mRNA発現量は無添加培地の細胞が血清添加培地の細胞に比べ、約5倍の増加が観察された。また、α-SMA蛋白発現量は3日目までは両者に差がなかったが、7日目より無添加培地の細胞が血清添加培地の細胞に比べて増加率の抑制を認めた。 [考察]細胞数、Decorin及びp21 mRNA発現量の経時的変化より両者とも3日目より静止期に至っており、この細胞もDecorin合成-p21合成-G1 arrestという系が考えられる。また、7日目以後に血清除去による静止期の細胞が接触阻害による静止期の細胞よりα-SMA蛋白発現量の低下を認めたことにより、細胞の活性化速度の抑制が考えられる。すなわち、両者のDecorin mRNA発現量の差が、細胞の活性化の違いにも反映している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)