2001 Fiscal Year Annual Research Report
酸素分圧勾配および乱流つき混合培養システムによる血管壁細胞の網羅的遺伝子発現解析
Project/Area Number |
13770342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 洋一郎 東京大学, 駒場オープンラバトリー, 助手 (10322033)
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Keywords | 動脈硬化 / 平滑筋 / 内皮細胞 / マクロファージ / 低比重リポタンパク質 / 混合培養 |
Research Abstract |
1.乱流低酸素刺激付き血管壁混合培養系の樹立 ウサギ大動脈から回収した平滑筋細胞を6-well chemotaxis chamber上に播種,その後内皮細胞を重層して血管壁構造をもつ混合培養系を構築した.シュミレーションによって,内皮細胞培養面には,乱流刺激が加わることを確認した. さらに,これを新規に開発した乱流低酸素刺激付き血管壁混合培養装置(MK-2000)にセットして,平滑筋層には低酸素刺激を,内皮細胞には乱流刺激を加えて3日間培養した.このとき,内皮細胞側には変性させていないLDLを0.3mg/mlの濃度にて添加した.その後,ヒト末梢血単球を加えて,一週間培養を継続した.この検体を凍結切片にて観察したところ,alpha-naphtyl butylate esterase染色によってマクロファージ細胞が内皮層を通過してマトリックス内部に移動していた.現在脂質蓄積の有無、他の血管壁マーカーとの免疫染色によって細胞の性状の同定を進めており,次年度早々に遺伝子発現解析を予定している. 2.平滑筋由来泡沫細胞の遺伝子発現解析 低酸素下でLDLを負荷すると,平滑筋細胞に脂質蓄積が生じることを見出しこれがLDL粒子の細胞内移行の増加によることを明らかにして報告した.この細胞のマクロファージ由来泡沫細胞の形成における役割を検討するために,ヒト冠動脈平滑筋にてoligonucleotide microarrayによる遺伝子発現解析を行った.その結果コレステロール合成系酵素,LDL受容体およびdesmosterolからのコレステロール合成酵素の発現が低下して細胞内脂質蓄積を裏付けられた.一方,FGF7の発現増加によって平滑筋自身の増殖を,IL-8とMIFの転写が亢進によって白血球の誘導と集積を進めると考えられた。さらに,Cyr61, tenascinなどの特異的なマトリックス成分をつくりここにLDLが蓄積することによって泡沫細胞形成を進めると考えられた。同時に,平滑筋自身は,CL-100やstanniocalcinなどの刺激誘導遺伝子を増産しながらも,脂肪細胞様の遺伝子発現(adipophilin、lepdn)を行い,実際の病変進展における低酸素下平滑筋の役割が示唆された.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Youichi Wada, Akira Sugiyama, Takashi Yamamoto, Makoto Naito, et al.: "Lipid accumulation in human coronary artery smooth muscle cells by LDL loading under hvpoxic conditions"Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology. (2002)