2002 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧におけるエストロゲン・テストステロンおよびRhoキナーゼの役割に関する研究
Project/Area Number |
13770357
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
笹島 久司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50326360)
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Keywords | 血管平滑筋 / 細胞内情報伝達系 / カルシウム / Rhoキナーゼ |
Research Abstract |
【目的】5-6週齢(幼若期)および10-11週齢(成熟期)の高血圧自然発症ラット(SHR)と同週齢のWistar-Kyotoラット(WKY)の抵抗血管intact fiberとα-toxin処理skinned fiberにおいて、Rhdキナーゼ阻害薬であるY-27632を用い、Rhoキナーゼの細胞内Ca-収縮蛋白系への影響をWistar ratの基礎検討の後にSHRとWKYで比較検討した。 【方法】(1)30mM高カリウム液(高K),10mM Caffeine(Caf)および1μM Norepinephrine(NE)の上腸間膜動脈の血管収縮反応に及ぼす1μM Y-27632の影響、(2)50μg/ml Straphylococcal aoreus α-toxinの暴露によりskinned fiberを作製し、Ca収縮反応に及ぼすY-27632の影響を、それぞれSHRとWKYで比較した。 【結果】(1)生筋において、高K,CafおよびNE収縮反応は幼若期ではSHRとWKYで有意差はなく、成熟期ではSHRはWKYに比べ大であった。Y-27632は高K,CafおよびNE収縮反応をそれぞれ減弱したが、それらの変化の程度は幼若期・成熟期ともにSHRはWKYに比し有意に大であった。(2)α-toxin処理skinned fiberでは、Ca収縮は幼若期ではSHRとWKYで有意差はなく、成熟期ではSHRはWKYに比べ大であった。またY-27632によるCa収縮反応の減弱の程度は幼若期・成熟期ともにSHRはWKYに比べ有意に大であった。 【総括】SHRはWKYに比べ高血圧発症前の幼若期から抵抗血管でのRho-kinaseを介する収縮蛋白のCa感受性が増加している可能性が考えられ、basal Rho-kinase activityが成熟期SHRで増大している可能性が考えられた。
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