2001 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウイルスベクターを用いた動脈硬化に対する遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
13770359
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
前田 喜一 自治医科大学, 医学部, 助手 (50306148)
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Keywords | アデノ随伴ウイルス / 遺伝子治療 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
AAV-IL-10を作成し、C2C12 cell(mouse myoblast)に遺伝子導入を行った。遺伝子導入後の培養液中のIL-10濃度はベクター用量依存性に上昇した。また,感染48時間後で7.54ng/ml、感染5日後で32.0ng/mlであり,持続的かつ増加傾向がみられた。産生されたIL-10の生理的活性を検討するために,LPS刺激によるJ774 cell(mouse macrophage)におけるIL-6産生能を検討した。AAV-IL-10導入C2C12の培養上清での前処置でIL-6産生は有意に抑制され、この抑制作用は、IL-10中和抗体存在下では消失した。このことより遺伝子導入により産生されたIL-10は、炎症性サイトカインの産生を抑制することが,確認された。アポE knockout mouseに高コレステロール食を負荷し,マウスの上行大動脈を摘出後,Oil red染色にて動脈硬化の進展を検討した。高コレステロール食負荷2ヵ月目には,血中コレステロール値の増加と共に,明らかな動脈硬化病変を検出することができた。次にアポE knock out mouseの前脛骨筋にAAV-IL-10を筋肉注射にて導入し、血中IL-10濃度を測定した。IL-10導入マウスでは、ベクターの用量依存性に血中IL-10濃度は増加し、AAV-IL-10 1X10E13particle導入マウスでは、13.35,15.26ng/ml(遺伝子導入2week,4week後)であった。以上より,in vivoにおいてもAAV-IL-10による遺伝子導入が,成功しており,その遺伝子発現が持続的であることが確認できた。 現在,遺伝子導入マウスの動脈硬化に対する影響を,組織学的に検討しているところであるが,プレリミナリーなデータでは,動脈硬化抑制作用があるようである。同時に,血中の炎症性サイトカインの濃度についても検討中である。
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