2001 Fiscal Year Annual Research Report
急性心筋梗塞発症における炎症の役割(特にクラミジア感染とCD14およびToll-like Receptor4遺伝子多型の関与について)
Project/Area Number |
13770367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
島田 和典 順天堂大学, 医学部, 助手 (60327814)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / クラミジア / Toll-like receptor 4 / CD14 / 可溶性CD14 / 遺伝子多型 / PCR-SSCP法 / TNF-α |
Research Abstract |
本研究の目的は、急性心筋梗塞(AMI)におけるクラミジア感染とCD14遺伝子多型との相加効果、ならびにToll-like receptor4(TLR4)遺伝子多型の解析とAMI発症やクラミジア感染への関連性につき検討することである。本年度は、(1)TLR4遺伝子多型診断の確立、(2)AMI症例におけるCD14遺伝子多型の検討、(3)末梢血白血球中C.pneumoniae DNA測定法の確立、(4)AMI症例における血清中クラミジア属IgA・IgG抗体の検討、(5)急性冠症候群(ACS)における可溶性CD14(sCD14)、IL-1、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-α、interferon-γ濃度の測定、を中心に検討した。 (1)冠動脈硬化症例を対象にPCR-SSCP法によりTLR4遺伝子A896G多型の検討を行った。種々のプライマーを作成しさまざまな条件設定を用いて泳動を行ったがA896G多型の検出は困難であった。本邦においてはこの多型の頻度は不明であるため、ダイレクトシークエンス法で896A→Gのmissense mutationの存在を確認した。それにより健常人を対象にした検討を行ったところ、ヘテロ接合体の頻度が4.2%であり、欧米と比較し低い傾向を認めた。(2)CD14遺伝子プロモーターC-260T多型は、AMI症例においてT/Tホモ接合体の頻度は39%であった。年齢別に検討したところ、高齢者と比較し若年者においてT/Tホモ接合体の頻度はより高い傾向を認めた。(3)AMI症例において、種々のプライマーを作成し末梢血白血球中C.pneumoniae DNA測定法の確立を試みたが検出されなかった。(4)ACS症例では、健常人や冠動脈硬化症例に比較しクラミジア属IgA抗体陽性率は高値であった。(5)ACS症例では、健常人や冠動脈硬化症例に比較しsCD14、IL-6、TNF-α、は有意に高値、IL-10は有意に低値であった。 今後は、AMI症例におけるTLR4遺伝子多型の検討数を増やし、AMI発症におけるTLR4・CD14遺伝子プロモーター多型とクラミジア感染との関連および相加効果を検討する予定である。
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