2001 Fiscal Year Annual Research Report
左右心室収縮能と動脈系カップリングからみた新しい循環動態モニターの開発
Project/Area Number |
13770379
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宍戸 稔聡 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室員 (60300977)
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Keywords | 心臓力学 / 心機能 / 収縮能 / 収縮不全 / 心不全 / エラスタンス |
Research Abstract |
1)収縮期末エラスタンス(Ees)推定理論の確立 (1)左室: 麻酔開胸犬において,時変エラスタンス[E(t)]カーブの二直線近似は,種々の収縮性或いは血管特性の条件下において可能であり,また,この二直線のなす角度は,負荷依存であることが明らかとなった。また,収縮性の低下した状態では,拡張期末圧が高く,E(t)カーブの立ち上がりも緩やかであるため,正確なEesの推定のためには,大動脈圧のみからEesを推定することは困難で,何らかの形で拡張期末圧の影響を考慮する必要があると考えられた。 麻酔開胸ラットを用いて同様の検討を行ったところ,E(t)カーブの負荷依存性は麻酔開胸犬と同様であり,二直線のなす角度と拡張期末圧を考慮することで,精度良くEesが推定できることがわかった。 以上の動物実験の結果を踏まえて,臨床例での検討も行った(下記2)参照)。 (2)右室: 右室のE(t)カーブは左室に比して負荷依存性が少ないことがわかった。従って,近似された二直線のなす角度を一定としても,標準予測談差(SEE)が0.5mmHg/ml程度の精度で推定できることがわかった。さらに精度を改善するために,右室の駆出開始時及び収縮末期の拡張末期圧を考慮した発生圧比で,この角度の補正を行ったところ,SEEが0.3mmHg/mlまで改善する事がわかった。 2)臨床応用への検討 虚血性心疾患などの患者13例の心臓カテーテルのデータに対して,本推定理論が成立するか検討を行った。その結果,臨床例においても左室E(t)カーブは負荷依存性があり,この依存性と左室拡張期末圧を考慮することで,SEE30%の精度で推定できることがわかった。しかしながら,実際に患者データとして用いるには,E(t)カーブの近似二直線のなす角度の推定精度を上げる必要があり,今後の検討課題となった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Masaru Sugimachi: "A new model-based method of reconstructing central aortic pressure from peripheral arterial pressure"Jpn J Physiol.. 51・2. 217-222 (2001)
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[Publications] Masaru Sugimachi: "Low compliance rather than high reflection of arterial system decreases stroke volume in arteriosclerosis : a simulation"Jpn J Physiol.. 51・1. 43-51 (2001)
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[Publications] Yasunori Nakayama: "Heart rate-independent vagal effect on end-systolic elastance of the canine left ventricle under various levels of sympathetic tone"Circulation. 104・19. 2277-2279 (2001)
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[Publications] Yasunori Nakayama: "Laterality in direct and indirect inotropic effects of sympathetic stimulation in isolated canine heart"Jpn J Physiol.. 51・3. 365-370 (2001)