2002 Fiscal Year Annual Research Report
小児急性白血病におけるBH3 onlyの解析とその臨床的意義
Project/Area Number |
13770389
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
合井 久美子 山梨大学, 医学部, 助手 (70324192)
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Keywords | BH3 only / 急性リンパ性白血病 / アポトーシス |
Research Abstract |
小児急性リンパ性白血病(Acute lymphoblastic leukemia ; ALL)とBH3 onlyの関与については、t(9;22)転座型であるKOPN30, KOPN55, KOPN57の3細胞株、11q23転座型であるKOCL33, KOCL44, KOCL45, KOCL69, KOPN1の5細胞株、pre-B ALLであるKOPN32, KOPN35、NALM6の3細胞株を用いて、BH3 only発現解析をRNase Protection AssayとWestern blotting法を用いて行った。BH3 onlyのうち、Bad, Blk, Hrk, Bikの発現はいずれの細胞株でも低値であった。新規抗癌剤の候補の一つであるHDAC inhibitorをこれらの細胞株に投与したところ、すみやかにアポトーシスが誘導された。そこでHDAC inhibitor投与後のBH3 only遺伝子の発現解析を行ったところ、Bad, BikのmRNAの発現がすみやかに上昇した。しかしながら蛋白レベルではBadの発現変化はほとんどみられなかったが、Bik蛋白はHDAC inhibitorでアポトーシス誘導時に発現が増加した。これは血清除去後にKOPN30で発現増加がみられたのと同様の結果であった。またHDAC inhibitor添加後、BH3 onlyであるBidの活性化が認められた。しかしながら、その上流であるCaspase-8の活性化、もしくはTNF-receptor familyの発現増加は観察されなかった。以上により、小児のB-precursor ALLにおける血清除去、薬剤刺激などによるアポトーシス機序の一因としてBH3 onlyであるBik, Bidの活性化が関与している可能性が高いと考え、現在これら遺伝子のantisenseなどによる発現抑制実験を進行している。
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