2001 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム刷り込み現象のスクリーニングによるモヤモヤ病原因遺伝子の単離
Project/Area Number |
13770397
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山本 俊至 鳥取大学, 遺伝子実験施設, 助手 (20252851)
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Keywords | モヤモヤ病 / ウイルス動脈輪経閉塞症 / ゲノム刷り込み現象 / 原因遺伝子 |
Research Abstract |
モヤモヤ病(ウイルス動脈輪経閉塞症)は、幼児期から学童期にかけての発達期に、中大脳動脈起始部の血管の内皮が異常増殖し、脳梗塞の症状で発症する比較的稀な疾患であるが、目本人など東アジアの民族に特徴的な疾患である。原因は未だ不明であるが、家族集積性があり、遺伝性が強く疑われ、特に発症者は共通の遺伝子異常を保有していることが予測される。そしてこの疾串の原因遺伝子は発達期の血管内皮細胞の増殖制御に関与している新規遺伝子であると考えられる。モヤモヤ病の親子例のうち母親からの遺伝が圧倒的に多い事実から、この疾患の原因遺伝子がゲノム刷り込みに関連している可能性に注目している。最近、日本の他の研究施設により、3番染色体短腕(3p24.2-26)に、この疾患に関連する遺伝子が位置している可能性が示された(Am J Hum Genet 64:533-537,1998)。今後はこの領域に注目し、3番染色体短腕に位置するESTを患者および正常コントロールのリンパ球を使ってRT-PCRを行い、解析したところ、複数のESTで患者での発現低下を認めた。この領域では、親起源の明らかなヒト3番染色体1本を保持したマウスA9雑種細胞で同様の解析を行ったところ、父親由来のヒト3番染色体を保持するマウスA9雑種細胞では発現が見られなかった。これらのことから、当初の予想どうり母由来のアリルのみが発現する、ゲノム刷り込みを受けた新しい遺伝子が存在する可能性があり、その遺伝子がモヤモヤ病と関連している可能性が示唆された。今後はこれらの遺伝子断片からRACE法、あるいはcDNAライブラリーのスクリーニングなどにより全長を解析し、患者ではどのような遺伝子異常が原因になっているかを同定し、原因遺伝子を確定する。そしてゲノム刷り込みの状態を解析する。
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