2002 Fiscal Year Annual Research Report
バーキットリンパ腫細胞の糖脂質膜ドメインを介するアポトーシス誘導機構の解析
Project/Area Number |
13770407
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森 鉄也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50245544)
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Keywords | CD77 / バーキットリンパ腫 / アポトーシス / 糖脂質膜ドメイン / CD40 / IL-4 |
Research Abstract |
バーキットリンパ腫細胞のCD77を介するアポトーシス誘導機構を明らかにし、その知見に基づき、バーキットリンパ腫治療におけるアポトーシス誘導療法など新規治療法の確立を最終目標とした。CD77を刺激する分子として、Shiga toxin 1(Stx1)および抗CD77モノクローナル抗体を使用し解析を行った。すでに、Stx1によるRamos細胞のアポトーシス誘導に糖脂質膜ドメインを介したsrc型チロシンキナーゼLynの活性化が密接に関与している可能性を報告し、昨年度にはStx1によるRamos細胞のアポトーシス誘導機構におけるcaspaseの役割について解析を行い報告した。バーキットリンパ腫細胞の細胞表面に発現する刺激伝達分子が、CD77を介するアポトーシス誘導刺激に及ぼす影響について解析を行った。Ramos細胞において、抗CD40抗体、あるいはIL-4存在下であらかじめ細胞培養を行なった後にStx1を添加すると、Stx1によるアポトーシス誘導の効率が有意に低下することが明らかになった。一方、Daudi細胞においては、抗CD40抗体による前処理ではStx1添加によるアポトーシス誘導効率の低下を認めたものの、IL-4による前処理では明らかな変化を認めなかった。両細胞株においてフローサイトメトリーで解析したCD77の発現およびStx1の細胞表面への結合は同等であったが、同条件でのStx1添加によるアポトーシス誘導効率はRamos細胞においてより強くみられた。フローサイトメトリーで解析したCD40の発現はDaudi細胞にやや強く、IL-4受容体(CD124)の発現は同等であった。CD40およびIL-4受容体を介した刺激伝達がStx1によるアポトーシス誘導を抑制する機序、および細胞株間での反応の違いについてさらに解析をすすめる予定である。これらのバーキットリンパ腫の細胞死を調節する分子機構の詳細を明らかにすることによって、バーキットリンパ腫に対するアポトーシス誘導療法への応用が期待される。
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