2001 Fiscal Year Annual Research Report
培養ラット脊髄後根神経節細胞の成長円錐部の化学受容性
Project/Area Number |
13770430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
今井 健 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70323706)
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Keywords | ラット / 培養脊髄後根神経節細胞 / 成長円錐部 / 化学受容性 / ホールセルパッチクランプ法 / ヒスタミン / カプサイシン |
Research Abstract |
今回の研究では、培養ラット脊髄後根神経節(dorsal root ganglion ; DRG)の成長円錐部(growth cone)に局所的に化学物質の投与による刺激を行い、その時に生じる電気的応答をホールセルパッチクランプ法を用いて解析することにより、成長円錐部に末梢神経自由終末に相当する特殊な化学受容性の機構が存在する可能性、すなわち成長円錐部が皮膚における痒み・痛みなどの発生のモデルになる可能性について検討することを行った。 生後0-7日齢のウイスターラットの脊髄後根神経節を摘出し、酵素処理後に個々の神経節細胞を分離し、DMEM液中でカバーガラス上に培養を行った。多くの細胞で培養開始後1日以内に細胞体より神経突起が伸長し、その先端に成長円錐(growth cone)が形成された。 DRG細胞の細胞体よりホールセルパッチクランプ法による膜電流測定を行いながら、成長円錐部および細胞体に、種々の化学物質をpuff法(微細ガラス管に詰めた化学物質を空気圧で噴射し投与する方法)を用いて投与した。また、一般に知覚伝達に重要とされる直径が小型(16-20μm)のDRG細胞を選択し、実験を行った。 一般に痒みの原因物質とされるヒスタミン(0.1%w/v)を成長円錐部及び細胞体に10例ずつ投与したが、電気的な応答は全く見られなかった。このことより培養ラットDRG細胞にヒスタミンH1受容体の存在する可能性は低いと考えた。 次に、痛みの発生と関連づけられているカプサイシンという物質(30μM)を投与したところ、細胞体で4例中4例(100%)、成長円錐部で3例中2例(67%)において内向き電流の発生が観察され、少なくとも一部の成長円錐部には細胞体と同様にカプサイシン受容体が発現している可能性が高いと考えた。このことは、成長円錐部の一部は末梢神経自由終末に相当する化学受容性の機構を有する可能性を示唆するものと考えられた。
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