2002 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍骨転移の疼痛治療を目的とする新規放射性レニウム標識薬剤の開発
Project/Area Number |
13770500
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
向 高弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (30284706)
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Keywords | 腫瘍 / 骨転移 / 放射性薬剤 / レニウム / ビスホスフォネート / 疼痛治療 |
Research Abstract |
放射性レニウムとビスホスフォネートであるHEDPとの多核錯体が骨疼痛治療薬剤として検討されているが、Re錯体の安定性が悪く、生体内でReO_4^-へと酸化されることによる骨髄、胃等の被曝が大きな問題となる。この問題を解消するために、本研究前年度において、分子内にビスホスフォネート構造と独立して安定なRe単核錯体を導入した薬剤、Re-MAMA-BPを開発し、本薬剤設計により、Re錯体の高い安定性と骨への集積性とが両立可能であることを明らかとした。今年度は、より骨への集積性を向上させることを目的に、ビスホスフォネートの中央炭素に水酸基を有する化合物、Re-MAMA.HBPを設計・合成した。標識前駆体として設計したTr-MAMA-HBPは、総収率3.1%で合成することができた。また^<186>Re-MAMA-HBPは、Tr基を脱保護したMAMA-HBPと^<186>Re-citrateとの配位子交換後、逆相HPLCによる精製により放射化学的収率54%、放射化学的純度95%以上で得られた。ヒドロキシアパタイトへの結合性をインビトロにより検討したところ、^<186>Re-MAMA-HBPは^<186>Re-MAMA-BPに比べて高い結合性を示した。また、マウスでの体内動態を検討した結果、^<186>Re-MAMA-HBPの骨への集積は、^<186>Re-MAMA-BPに比べて高い値を示した。したがって本薬剤設計において、ビスホスフォネートの中央炭素への水酸基の導入は、骨への集積性の向上に有効であることが明らかとなった。一方、^<186>Re-MAMA-HBPは、^<186>Re-MAMA-BPと同様に、非標的組織である肝臓・腎臓への集積を示し、これは、^<186>Re-MAMA構造の導入による化合物の脂溶性の向上に起因すると考えられた。以上の結果は、放射性レニウム標識骨疼痛治療薬剤の開発に有用な指針を与えるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)