2001 Fiscal Year Annual Research Report
DNAに作用するスレーディングインターカレータ型低酸素細胞放射線増感剤の開発
Project/Area Number |
13770507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宇都 義浩 徳島大学, 工学部, 助手 (20304553)
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Keywords | 低酸素細胞放射線増感剤 / スレーディングインターカレータ / ナフタレンジイミド / 2-ニトロイミダゾール |
Research Abstract |
本年度の目的は,DNA結合型の低酸素細胞放射線増感剤の開発であり,これまでに,スレーディングインターカレータであるナフタレンジイミド分子にメチレンアミド側鎖を介して2つの2-ニトロイミダゾール分子を導入したTX-1932の合成に成功している.本年度は,TX-1932をリード化合物として水溶性の向上を目指し,TX-1932の側鎖のアミド基を四級アミンに変換したTX-1991を分子設計・合成した.TX-1991は,TX-1932と比較して非常に高い水溶性(計算した脂溶性パラメータの比較で約一万倍)と,比較的高い細胞毒性(IC_<50>=5.2μM, EMT6/KU細胞)を示した.これは,TX-1991の2つのカチオン性側鎖がアニオンポリマーであるDNAとの結合に有利に働いたためであると考えられる.放射線増感効果に関しては,TX-1991が細胞毒性を示さない濃度(1μM)で算出したところ,増感率ER=1.4となり,有効増感率1.6にはわずかにとどかない結果となった.これについては現在検討中である.今年度の結果からは,放射線増感剤へのアミノ基の導入は,水溶性は高くなるが,DNAとの結合力が高まり細胞毒性が強くなることが分かった.よって,水溶性の向上にはアニオン性水溶性基である水酸基などが適していると考えられる.これらの検討を踏まえて,来年度は,骨格及び側鎖の分子変換によりDNA結合能を保持しつつ細胞毒性を低減した低酸素細胞放射線増感剤の開発を続けていく予定である.
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