2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大村 素子 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 助手 (70244506)
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Keywords | 放射線治療 / アポトーシス / bcl-2 |
Research Abstract |
我々は腫瘍細胞のbcl-2の機能を抑制することによって、放射線が誘導するアポトーシスを増強し、抗腫瘍効果を増強できると考え、作用機序の異なる二つの薬剤(Tetrocarcin Aおよびbcl-2アンチセンス)について、その放射線増感効果を調べることを本研究の主目的としている。まずミトコンドリアにおけるbcl-2のアポトーシス抑制機能を阻害する薬剤TC-Aについてその放射線増感作用をbcl-2を高発現させた子宮頚癌細胞Hela-bcl-2細胞とコントロール株であるHela細胞において比較した。TC-Aに対する薬剤感受性は両者でほとんど変わらなかったが、放射線感受性においては、Hela-bcl-2細胞のほうが明らかに放射線抵抗性を示した。さらに、TC-Aによる放射線増感効果はHela-bcl-2細胞にのみ認められた。このことから放射線とTC-Aの併用はbcl-2高発現によって抵抗性となった腫瘍に対する効果的治療となりうる可能性が示唆された。同様に変異型p53ベクターを導入した脳腫瘍A172mp53と野生型p53をもつコントロール株A172neoを比較した。A172mp53はA172neoと比較して放射線抵抗性を示したが、両細胞においてTC-Aによる放射線増感効果は認められなかった。Westernblot法で調べたところ、両細胞のbcl-2発現量はHela紬胞と同程度であった。これらの細胞では放射線感受性の違いに関与するのは主にp53遺伝子型であり、その下流にあるbcl-2は関与せず、bcl-2を標的とする薬剤の併用には適していないと考えられた。
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