2002 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤持続動脈内注入による家兎血管壁に与える影響、及び肝組織の変化
Project/Area Number |
13770528
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
小金丸 雅道 久留米大学, 医学部, 助手 (90268889)
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Keywords | 動脈内持続動注 / 抗癌剤 / 5FU / 野兎 / 動脈壁変化 / 肝組織変化 |
Research Abstract |
目的:野兎を用いて5-FUの動脈内持続投与による末梢血管の内腔および血管壁の形態変化,肝組織の変化を検討する. 対象と方法:2.5kgの家兎を対象とした.まず全麻下にて開腹し脾動脈にカテーテルを挿入,透視下にて腹腔動脈系の造影を行い血管解剖を把握し浸透圧微量注入器を腹腔内に留置する.注入器にはコントロール群である生理食塩水と5FUをそれぞれ群別に注入,いずれも総投与量は2mlとした.また閉腹後の血管造影のため,三つ又状にもう一つのカテーテルも留置し,閉腹後の造影が可能となるように工夫した.全例このシステムで統一した. 結果:前年度ではコントロール群を除き死亡例が多発したため今年度は5FU濃度を4mg/kgの膿度に変更し,全量2mlを一定として,輸液流量を10μl/hr,5μl/hr,2.5μl/hrの3つのモデルを設定し,それぞれ7日,14日,28日後の変化を観察した.28日モデルは1例のみであったが,いずれの群も血管造影および組織学的検討にて予想されていた血管内膜変化は観察されなかった.併せて施行した肝組織変化に関しても同様であった. 考察:原因としては5FU濃度の関与が示唆された.おそらく低濃度のため血管壁変化を来すには及ばなかったと考えられた.同濃度であれば観察期間を延長させる必要があったが,市販されている浸透圧微量注入器が最大で28日であるため,これ以上の観察期間の延長は不可能であった.以上より,臨床的には薬剤濃度の低下が血管壁変化の頻度を減少させると推察された.また臨床例は数か月から数年間の動注例が多く,薬剤濃度だけではない治療期間の関与も大きいと示唆された.しかしながら抗腫瘍剤を低濃度化(総投与量の低下)することは,血管障害を減少させる可能性はあるが,抗腫瘍効果の低下が懸念されると考えられ,前述の理由も考慮し本研究の結果から明確な判断を得ることは困難と考えられた.
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