2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本における臓器移植:特に腎移植および生体肝移植への精神医学的接近法の設定
Project/Area Number |
13770530
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
天保 英明 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (00312497)
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Keywords | リエゾン精神医学 / コンサルテーション精神医学 / 生体部分肝移植 / 死体腎移植 / 生体腎移植 / 臓器移植精神医学 / CMIテスト / 易怒性 |
Research Abstract |
生体部分肝移植及び死体腎移植、生態腎移植の移植前及び移植後の面接、心理テストを通じて、日本における臓器移植の精神医学的接近法について研究を行なった。生体部分肝移植については、症例数が少なく、明確なデータが統計学的に結論付けることが出来るほどに至っていない。 腎臓移植患者においては新たな患者及びこれまでの患者を検討することによって移植術後の精神症状発現のリスクファクターについて徐々に明らかになった。 特にコーネルメディカルインデックス(CMI)の領域IIIおよび領域IVに術前有ったものや術後直後に行われた同じテストによって同じ領域にあるものあるいは術後のテストによって潜在的怒りを示すものが術後に抑うつ、不安ないし不安発作あるいは強い不眠を訴えてリエゾン精神科医による精神療法および薬物治原を要した患者が統計学的に有意に多く存在したことがわかり、このことについて平成15年5月に沖縄で開かれる第44回日本心身医学会総会にて報告予定である(抄録は採用決定済み)。 また、移植術前と移植後でのCMIの結果との比較では術前より術後の結果の方がむしろより有意差が強く出ている結果に注目した。 これは、質問紙形式の心理テストの限界を示すもので、福西らの先行研究では質問紙法ではなく描画法の方がうおり患者が抱える潜在的な問題をより明確に示すとされている。 そこでわれわれも、移植術の前後でHTPテスト(ハウス・ツリー・パーソンテスト)を施行しそのデータを蓄積中である。 また、これらのデータで予測しうる精神障害は反応性抑うつや不安、不眠と言った領域の精神障害で、妄想、譫妄なとのよりハードな精神症状の予測因子になっていない可能性が考えられ、これまでにはない予測因子の考察をしなければならないと思われた。 最後に、移植を取り巻く患者や家族の認識次第では移植が中止になる場合があり、第14回総合精神病院医学会総会にて「心理社会的問題により生体腎移植に至らなかった3例」を報告した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 小野真吾, 天保英明 他: "生体部分肝移植のリエゾン活動で関与した高齢ドナーの一例"心身医学会. 42(6). 389 (2002)
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[Publications] 川村直子, 天保英明 他: "移植患者におけるエゴグラムとPOMSの有用性 -3症例を通して-"心身医学. 42(10). 691 (2002)
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[Publications] 浜田美実, 天保英明 他: "当院における精神科コンサルテーション活動の現状 -65才以上の高齢者を中心に-"総合病院精神医学. 14(suppel). S97 (2002)
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[Publications] 板井貴宏, 天保英明: "透析患者のメンタルケア"治療. 84(5). 1563-1567 (2002)
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[Publications] 天保英明, 兼子直: "薬剤性脳症の患者のケア"透析ケア. 8(11). 1098-1103 (2002)
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[Publications] 天保英明, 兼子直: "透析患者への向精神薬の投与の原則"腎と透析. 53(6). 769-772 (2002)
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[Publications] 天保英明: "現代のエスプリNo424-音楽と癒し-(ストレス・コーピングにおける音楽の効果)"至文堂(坂東浩・吉田聡編集). 212(102-114) (2002)