2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本人アルツハイマー病に対するプレセニリン2遺伝子スプライシング多型の影響
Project/Area Number |
13770543
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 泰司 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (00324921)
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Keywords | アルツハイマー病 / プレセニリン / 遺伝子 / スプライシング / 変異 / 多型 / エクソン / RNA |
Research Abstract |
今回はこの研究課題の2年目(最終年度)の報告である。 前年度、われわれは孤発性アルツハイマー病とプレセニリン2遺伝子の新たなスプライシング多型の関連の先の報告(J. Neurochem.72,2498-,1999)に関して追試実験を行った。まず、RT-PCR法を用いて合成した末梢血(白血球)中RNA由来のcDNAをテンプレートにしてnested-PCR法をおこなったが、PCR産物の生成が不安定であった。その後、PCRの条件設定を変えて再挑戦したところ、ある程度の安定したPCR産物か得られるようになった。さらに、PCR産物を電気泳動したところ、予想外のサイスのバンドが複数(3ないし4本)出現したため、それぞれのPCR産物がどのような塩基配列であるかを確認することにした。そこでわれわれは次に、任意の症例を選びそれぞれのPCR産物をプラスミドベクターを用いてサブクローニングした後、プラスミドを精製し制限酵素処理をしたうえでシークエンスをおこなった。 その結果、各バンドの塩基配列が判明した。その中には先の報告にあったプレセニリン2のエクソン5が完全に欠失しているものは存在せず、エクソン4のみが完全に欠失しているものが含まれていた。この結果は興味深い事実であった。 この事実についてわれわれが考えたことは、脳内と末梢血ではプレセニリン2の遺伝子発現に差異があり、末梢では脳内とは異なるスプライシングが起こっているのではないかという推測であった。そこで文献を検索してみたところ、1996年〜1997年にかけて同様の実験結果に関して2,3の文献で報告されていることが判明した。しかし、エクソン4のみが完全に欠失したという報告はいまだないようであり、その結果をさらに解析してみる必要がありそうである。 但し、末梢血でのプレセニリン2遺伝子のスプライシング多型の差異がそのまま脳内における発現の差異にあてはまるわけではないため、今後も充分な検討が必要と考える。
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Research Products
(1 results)